SNS採用で人が集まったが、辞めてしまった具体的な事例
SNS採用は、自社の文化や働き方を気軽に伝えられるため、多くの人に興味を持ってもらいやすい反面、ミスマッチが原因で早期離職につながることもあります。
人が集まったにもかかわらず辞めてしまった事例として、以下のようなものが挙げられます。
1. 華やかな発信と実際の業務のギャップ
あるベンチャー企業は、Instagramで社員の楽しそうな交流イベントやおしゃれなオフィスを紹介していました。この発信を見て「自由でクリエイティブな社風だ」と感じて入社した人が多くいました。しかし、実際に入社してみると、業務は地道なデータ入力や事務作業が多く、発信内容とはかけ離れていました。
入社した人は、理想と現実のギャップに失望し、やりがいを感じられずに半年以内に退職してしまいました。SNSで会社の「良い部分」ばかりを切り取って発信した結果、業務内容や仕事の厳しさに関する正確な情報が伝わらず、ミスマッチが起こったケースです。
2. カジュアルなコミュニケーションと企業文化のギャップ
あるスタートアップ企業は、X(旧Twitter)で社長や社員がフレンドリーでユーモアのある投稿を頻繁に行っていました。そのカジュアルな雰囲気に惹かれ、「風通しの良い職場」を求めて入社した人が複数いました。
ところが、入社後、上下関係は想像以上に厳しく、社長の発言は絶対で、社員同士の意見交換も活発ではありませんでした。SNSで見ていた「フランクな関係性」は、あくまで広報的な発信であり、実際の企業文化とは異なっていたのです。
このギャップに違和感を覚えた社員は、「思っていた社風と違う」と不満を募らせ、入社から3ヶ月ほどで退職してしまいました。
ミスマッチを防ぐために
これらの事例からわかるように、SNS採用で人が集まったとしても、発信内容と実際の企業の姿にギャップがあると、早期離職のリスクが高まります。
採用活動でミスマッチを防ぐためには、SNSで良い面だけをアピールするのではなく、仕事の厳しさ、大変さ、泥臭い部分も正直に伝えることが重要です。また、カジュアルなコミュニケーションだけでなく、具体的な仕事内容や、企業文化のルール、期待される役割についてもきちんと伝えることで、入社後のギャップを減らすことができます。
SNSはあくまで「きっかけ」であり、その後の面接や採用プロセスで、候補者が企業の現実を正しく理解できるよう努めることが不可欠です。