SNSで求人動画を出すなら必須!直行直帰の「就業場所」と知っておくべき法的リスク
🚨 はじめに:SNS求人は「手軽さ」と「法令遵守」がセットです
「SNSで求人動画を出せば若者が集まる」—確かに効果的ですが、その手軽さの裏には職業安定法という法令が厳しく適用されます。特に、現場への直行直帰が多い建設業は、「就業場所の明示」を間違えると、知らず知らずのうちに法令違反リスクを負うことになります。
本記事では、SNS求人広告で直行直帰の就業場所をどう記載すべきか、そして違反を避けるための必須知識を解説します。
1. SNS求人でも「職業安定法」が適用される理由
SNSやYouTubeで労働者を募集する行為は、職業安定法(職安法)上の**「労働者の募集」および「広告等による情報提供」**に該当します。媒体がデジタルであっても、求職者を守るための以下の大原則が適用されます。
📌 法令遵守の2大原則
- 虚偽・誤解表示の禁止(職安法第5条の3):
- 業務内容、賃金、就業場所など、労働条件について嘘や誤解を生じさせる表示をしてはなりません。
 
 - 必須6情報の明示義務(職安法施行規則第4条の2第3項):
- 求人広告には、募集主の氏名・住所・連絡先、業務内容・就業場所・賃金の6情報を明確に記載しなければ法令違反となります。
 
 
🚨 リスク:記載漏れや虚偽があった場合
必須事項の記載漏れや不正確な情報提供は、行政指導の対象となり、指導に従わない場合や悪質な場合は**「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」**という刑事罰(両罰規定あり)に発展するリスクがあります。
2. 直行直帰の場合の「就業場所」の正しい記載方法
現場への直行直帰が多い職種では、単に本社住所を記載するだけでは不十分であり、誤解を生じさせる表示と判断されるリスクがあります。
🔑 記載のポイント:2つの場所を明確に
法令(職安法施行規則第4条の2第5項)は、**「雇入れ直後の就業場所」と「変更の範囲」**の明示を義務付けています。直行直帰の場合、これらを以下のように記載しましょう。
| 項目 | 記載すべき内容 | 記載例(建設業を想定) | 
| 雇入れ直後の就業場所 | 所属する事業所の住所と、実際の主な勤務エリア | 「〇〇営業所(〇〇市〇〇)および主に〇〇県内の各建設現場(直行直帰あり)」 | 
| 就業場所の変更の範囲 | 将来的に転勤・異動を命じられる可能性のある最大の範囲 | 【転勤なしの場合】 「雇入れ直後の就業場所から変更なし」 【地域限定の場合】 「〇〇県内の各現場および営業所への異動」  | 
❌ 違反リスクの高いNG例
- NG: 就業場所:本社住所のみ → 実際は現場勤務のため、誤解を生じさせます。
 - NG: 変更の範囲:「会社の定める場所」 → 範囲が不明確で、求職者が予測できないため不適切です。
 
3. SNS動画を活かした「変更の範囲」の伝え方(中小企業向け)
法的要件はキャプションや詳細欄で満たしつつ、動画では求職者の不安を解消する工夫をしましょう。
| 課題 | 動画での解決アイデア | 
| 転勤・異動の不安 | 【社員インタビュー】「私は家庭の事情を相談し、この〇〇エリア内で働けています」と、柔軟な対応実例を語ってもらう。 | 
| 現場が不明確 | 【地図アニメーション】 勤務エリア(例:車で30分圏内)を地図上に色付けして示し、「この地域で腰を据えて働けます」と強調する。 | 
| 業務変更の範囲 | 【キャリアパス紹介】「現場管理→技術指導→幹部候補」といった成長の選択肢を、先輩社員が次のステップへ進む映像で具体的に見せる。業務変更は**「キャリアアップのチャンス」**とポジティブに訴求。 | 
✅ まとめ
SNSでの求人募集は、集客力向上に不可欠です。しかし、直行直帰の職種で「就業場所」を曖昧にすることは、法令違反リスクと採用後のミスマッチを同時に高めます。
動画のキャプションで必須6情報と「変更の範囲」を正確に明記し、動画本編で働き方やキャリアのリアルを透明性高く伝えることで、法令を遵守しつつ、優秀な人材の獲得を目指しましょう。
