代理店を選定する際のRFP(提案依頼書)の作成ポイント

RFP(提案依頼書)の作成は、採用成功のパートナー選びにおける設計図となるため、非常に重要です。特に経験豊富な技術者・管理者層の採用という特殊なミッションを明確に伝えることが、質の高い提案を引き出す鍵となります。

何を求めているのか」と「企業の現状」を具体的に示すための、RFP作成のポイントを解説します。


RFP作成の基本構成と重点ポイント

RFPは、大きく以下の3つのセクションで構成されます。特に「依頼内容と達成目標」のセクションに、これまでの議論で出てきた具体的な情報を盛り込みましょう。

1. 会社概要と依頼背景(現状の共有)

代理店に「貴社がどのような会社で、何に困っているか」を正確に理解してもらうための情報です。

記載項目記載すべきポイント(建設業向け)
会社概要・事業内容創業年数、資本金、売上高など、企業の安定性・規模がわかる情報を明記します。
今回の採用目的・背景**「事業拡大に伴う管理者ポジションの不足」「技術継承のためのベテラン技術者の確保」**など、具体的な課題を明確に記載します。
募集職種とターゲット**「土木施工管理技士(経験10年以上)」「建築部門の部門長候補」など、求める職種と、「35歳~55歳の即戦力」**というターゲット層を詳細に記述します。
現状の採用課題**「従来の求人媒体では応募がない」「応募者の質が低い」「SNS採用を試みたが若年層しか集まらない」**など、具体的な悩みを共有します。

2. 依頼内容と達成目標(提案を求める核)

代理店が最も知りたい「何をしてほしいか」「どこまで任せるか」を、数字(KPI)を交えて明確に伝えるセクションです。

記載項目記載すべきポイント(経験者採用の目標設定)
求める提案範囲**「SNS広告(Facebook/LINE)の運用代行」「クリエイティブ(画像・動画)制作」「ランディングページ(LP)制作」**のうち、どこまでを依頼したいか明記します。
KGI/KPI(達成目標)KGI(最終目標): 〇〇年〇月までに経験者2名の採用KPI(プロセス目標): 応募単価(CPA)〇〇万円以内、月間応募数〇〇件。
予算(内訳の明記)**「広告費(純粋な配信費用):月額〇〇万円」「運用手数料、制作費:別途見積もり希望」**など、予算の範囲と内訳を明確に区別して記載します。
訴求したい情報**「具体的な給与テーブル(年収〇〇万円~)」「大規模案件での裁量権」「社長のビジョン」**など、LPで必ず訴求したい具体的な強みを伝えます。
計測環境現在使用している採用サイトのURLGoogle Analytics等の計測環境の有無を伝えます。

3. 選定・実施スケジュールと選定基準

コンペをスムーズに進めるためのスケジュールと、代理店を評価する際の判断基準を明確にします。

記載項目記載すべきポイント
提案スケジュールRFP送付日、質疑応答期間、提案書提出期限、プレゼンテーション候補日、運用開始希望日を明確に設定し、提示します。
選定基準(評価軸)「提案の戦略性(40%)」「建設業界の実績と専門性(30%)」「費用対効果(20%)」「担当チームの体制と熱意(10%)」のように、評価の優先順位と割合を事前に決めておきましょう。価格だけでなく、**「成果へのコミットメント」**を最重要視する姿勢を伝えます。
担当チーム体制貴社のプロジェクト推進担当者(役職含む)を明記し、窓口を一本化します。
法務要件**秘密保持契約(NDA)**の締結が必要な旨や、契約・著作権の取り扱いについても記載します。

質の高い提案を引き出すための3つの秘訣

RFPの作成は単なる情報伝達でなく、「良い提案を引き出す」ための設計行為です。

  1. 具体的だが、手段は限定しない:
    • NG例: 「Facebook広告で動画クリエイティブを5本提案してください。」
    • OK例: 「経験者採用という課題に対し、最も費用対効果が高いと考えられるSNS媒体とクリエイティブ戦略を提案してください。」
    • 意図: 代理店の専門性を最大限引き出すため、「目標」を明確に伝え、「手段」は広く提案を求めましょう。
  2. 機密情報も勇気を持って共有する:
    • NG例: 予算は提案を見てから決めます。
    • OK例: 純粋な広告費の上限は月額〇〇万円です。(ただし、効果があれば増額の用意もあります)
    • 意図: **予算が不明瞭だと、代理店は力の入れ具合が分からず、提案の質が低下します。**NDAを締結した上で、可能な限り正直な予算や現状の課題を共有しましょう。
  3. 提案後の評価基準を明確に伝える:
    • RFPに選定基準を記載することで、「価格勝負」ではなく「戦略勝負」の提案を促すことができ、貴社に真に必要なソリューションを持った代理店を選定しやすくなります。

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