従業員の半数が特定技能・技能実習生?建設業が直面する「外国人材の転職リスク」と対策
近年、深刻な人手不足に悩む建設業界において、特定技能外国人や技能実習生といった外国人材は欠かせない存在となっています。
しかし、もしあなたの会社で従業員の半数が彼らで占められているとしたら、それは**大きな「転職リスク」**を抱えている証拠です。
特に特定技能外国人は転職が認められているため、「即戦力」として期待して採用・育成しても、突然去られてしまう可能性があります。
この記事では、建設業の経営者・採用担当者が知っておくべき外国人材の転職リスクの現状と、その具体的な対策を解説します。
1. 「特定技能」は転職自由!高まる人材流出リスクの現状
特定技能外国人が転職可能なことは、この制度を運用する上で最も大きなリスク要因となります。
📌 自己都合による離職後の約3割が「転職」
法務省のデータ(2022年11月時点)によると、特定技能外国人が自己都合で離職した後の状況のうち、約30.3%が特定技能資格内で国内転職を選んでいます。これは「帰国」に次いで高い割合です。
つまり、彼らにとって転職は一般的な選択肢であり、労働市場の流動性は日本人労働者と変わりません。
📌 短期離職の傾向にも注意
さらに懸念すべきは、離職者の多くが就職後1年以内という短期間で会社を去っているという民間調査の結果です。
時間と費用をかけて採用し、慣れない環境での初期研修を終えた直後に優秀な人材を失うことは、会社の採用コストと現場の負担を大幅に増やします。従業員の半数を外国人材が占める会社では、この短期離職が事業継続に直接的な打撃を与えかねません。
2. なぜ特定技能外国人は転職を選ぶのか?3つの主要因
特定技能外国人が転職を決意する背景には、主に以下の3つの要因があります。これらの不満は、外国人材の割合が高い企業ほど顕在化しやすい傾向があります。
① 「給与・待遇」への不満
特定技能制度では「日本人と同等以上」の報酬が義務付けられています。しかし、手当や昇給、ボーナスの基準が不明確であったり、他の企業と比べて明らかに待遇が劣っていたりする場合、彼らはためらわずに好条件の会社へ移ります。特に昨今の円安の影響もあり、少しでも多く稼ぎたいという動機は強くなっています。
② 「人間関係・労働環境」への不満
現場でのコミュニケーション不足や、日本人従業員からの差別的な言動やハラスメントは、離職の大きな原因となります。また、技能実習生から特定技能へ移行する際、実習時代と同じような過酷な労働環境が続くと判断した場合も、転職は避けられません。
③ 「キャリアアップ」への強い意欲
多くの特定技能外国人は、将来的な特定技能2号への移行(在留期間の上限なし、家族帯同が可能)や、母国でのキャリアを見据えています。現在の会社で「2号の要件となる熟練した技能が身につかない」「昇進・昇格の道筋が見えない」と感じた場合、キャリアパスが明確な企業へと転職していきます。
3. 建設業が今すぐ取るべき「定着」のための対策
外国人材の割合が高い会社ほど、彼らが定着するための環境整備は最優先事項です。
1. 報酬体系の「見える化」と「公正化」を徹底する
- 昇給の仕組みを明文化: 技能実習を終えた者や特定技能1号の経験年数に応じた昇給基準を明確に定め、雇用契約書に盛り込みます。
- 日本人との比較資料の整備: 職務内容が同じ日本人と比較して、待遇が劣っていないか(基本給、手当、福利厚生すべて)を常にチェックします。
2. コミュニケーションと支援体制を強化する
- 生活支援は手厚く: 法定の支援(生活オリエンテーション、住居確保など)を形式的に終わらせるのではなく、定期的な面談を通じて生活や健康の悩みを把握します。
- 日本語教育の継続的なサポート: 業務で使う専門用語や安全指示を確実に伝えられるよう、現場に合わせた日本語教育の機会を提供します。
3. キャリアパスを具体的に提示する
- 特定技能2号への移行を支援: 2号取得に必要な技能水準(技能検定1級相当)へのステップを明確にし、受験支援や実務経験の機会を提供します。これにより、長期的な定着へのインセンティブとなります。
外国人材は、単なる「安価な労働力」ではありません。彼らは即戦力となる貴重な戦力であり、投資に値する人材です。
あなたの会社が持続的に成長していくためにも、外国人材が「長く働きたい」と思える環境を真剣に整えることが、何よりも重要です。
