建設業の技能実習生は3年間でいくらかかる?「1,000万円超え」のコストを徹底解説
深刻な人手不足が続く建設業界において、技能実習生は貴重な労働力です。しかし、「安価な労働力」という古い認識は、もはや通用しません。
2024年10月1日以降の最低賃金改定などの影響を受け、技能実習生を受け入れる企業のコストは上昇傾向にあります。
本記事では、建設業の技能実習生1人あたりについて、給与、社会保険料、監理費を含む3年間の総コストを詳細に試算し、その費用がいかに「1,000万円」を超える現実的な投資であるかを解説します。
1. 3年間の総コスト概算は「1,000万円超え」が標準に
建設業の技能実習生1名に対する3年間の総コストは、変動幅を考慮すると約1,020万円〜1,113万円が現実的な目安となります。
これは、コストの大半を占める給与・社会保険料の上昇によるものです。
技能実習生1名あたり 3年間総コスト概算
| 費用カテゴリ | 3年間の総額概算 | 構成比(概算) | 主な内訳 |
| A. 初期費用 | 約75万円 | 7% | 渡航費、講習費、寮準備費、CCUS初期登録費など |
| B. 月額費用(36ヶ月) | 約914万円〜1,008万円 | 90% | 給与、社会保険料(会社負担分)、監理費など |
| C. その他経費 | 約30万円 | 3% | 技能検定料、帰国旅費積立、在留資格更新費、CCUS運用費など |
| 総コスト合計 | 約1,020万円〜1,113万円 | 100% |
2. コストの核となる「月額費用」の内訳と最新動向
総コストの約9割を占める月額費用は、特に最近の最低賃金上昇により、企業が最も注意すべき項目です。
1名あたりの月額費用(2024年10月以降の目安)
| 費用項目 | 概算月額 | 備考 |
| 給与・手当(総支給額) | 19.5万円〜20万円 | 最低賃金改定に伴う上昇。残業代の有無で変動。 |
| 社会保険料(会社負担分) | 約2.9万円〜3.0万円 | 給与額に連動して増加。(総支給額の約15%で試算) |
| 監理費・送出し機関費 | 3万円〜5万円 | 監理団体の監査・サポート費用。 |
| 月額費用合計 | 約25.4万円〜28.0万円 | (給与込み) |
月額の費用が1名あたり約25万円を超えるということは、3年間の人件費・管理費だけで約1,000万円に迫る計算です。
3. 建設業特有の「見えにくいコスト」への注意
建設業で技能実習生を受け入れる場合、他業種にはない特有のコストが発生します。これらの費用を見落とすと、予期せぬ出費につながります。
1. 建設キャリアアップシステム(CCUS)関連費用
技能実習生はCCUSへの登録が義務付けられています。
- 初期登録費用: 事業者登録料(資本金規模による)と技能者(実習生)登録料。
- 運用費用: 管理者ID利用料(年間)や、現場入場時の**現場利用料(1人日あたり10円)**などが継続的に発生します。
2. 住宅関連費用と移動コスト
建設業は現場移動が多いため、住宅費用の負担が大きくなる傾向があります。
- 実費負担の差額: 実習生から家賃として控除できる金額(約2万円程度が一般的)と、実際の家賃との差額は企業が負担します。
- 初期費用・更新頻度: 現場の移動に伴い、新しいアパートの敷金・礼金や、家具家電の移動・再購入費用などが繰り返し発生する可能性があります。
3. 特別教育・安全衛生費用
現場での安全確保のため、重機操作や玉掛けなど、業務に必要な特別教育を受けさせる義務があり、その講習費用や安全装備の費用が上乗せされます。
まとめ:技能実習生は「長期的な人財投資」である
建設業における技能実習生の受け入れは、3年間で1,000万円を超える大規模な人財投資です。
単なる「人件費」として捉えるのではなく、長期的な戦力として定着させるための**「投資」と捉え、適切な賃金・待遇の提供、そして現場でのOJTとCCUSを通じた技能向上に企業としてコミットすることが、このコストを真のリターン**に変えるための鍵となります。
外国人材の採用を検討する際は、この現実的なコストを理解した上で、綿密な計画を立てるようにしてください。
