採用できないと年間数百万円を失う?年商1億円の外構工事業が陥る「逸失利益」の落とし穴

🏡 中小外構工事業のリアル:年商1億円の妥当性

まず、貴社が属する外構工事業という専門分野において、年商1億円という数字は中小企業として非常に現実的で妥当なラインです。

企業の規模年商(売上高)の一般的なイメージ1億円の見積もりの妥当性
小規模・個人事業主数千万円以下高すぎる可能性があります。
中小企業(数名〜10名程度)1億円~3億円程度最も妥当な範囲です。多くの地域工務店や専門工事業者がこのゾーンに入ります。
中規模企業数億円~数十億円以上低すぎる可能性があります。

経済産業省の調査でも、外構工事業が含まれる「職別工事業」は、他の建設業よりも平均規模が小さくなる傾向があり、年商1億円は数名体制で運営する地域密着型の中小企業にとって、まさに中心的な規模と言えます。

この「年商1億円」という規模だからこそ、従業員1名が欠けることによる損失(逸失利益)は、会社全体の利益を大きく揺るがす深刻な問題となります。


💰 従業員1名が欠けたときの「年間逸失利益」試算

年商1億円、従業員数4名(社長含む)の外構工事業者が、優秀な技術者または現場担当者1名を採用できずに欠けたまま事業を続けたと仮定して、年間損失を具体的に試算します。

1. 売上と粗利益の機会損失(逸失利益の源泉)

年商1億円を4名で達成している場合、従業員1人あたりの年間売上貢献額は約2,500万円です。

損失項目金額の目安(年間)意味するもの
失われた売上高約2,500万円1人あたり売上高(新規受注できなかった仕事)
失われた粗利益(付加価値)500万円~625万円建設業の平均的な粗利率20%~25%で試算した利益の源泉

この500万円以上の粗利益は、本来であれば会社に残るはずだったキャッシュです。採用活動に失敗することで、まずこの大きな利益の塊を失うことになります。

2. 人件費減少額を差し引いた実質損失額

「採用しないのだから、人件費が浮く」と考えるのは誤りです。浮いた人件費以上に、生み出すはずだった利益を失うため、実質的な赤字が生じます。

項目金額の目安(年間)
失われた粗利益(A)500万円〜625万円
支払わなくなった人件費(B)350万円〜450万円
実質的な年間逸失利益(A - B)50万円〜275万円

つまり、採用コストや給与をケチった結果、最低でも年間50万円、最大で275万円以上の利益が会社から消えることになります。これは、会社の規模から見て非常に大きなダメージです。


🚨 見落とされがちな「二次的な損失リスク」

採用できないことによる損失は、上記の金銭的な逸失利益だけにとどまりません。年商1億円規模の小所帯だからこそ、以下の二次的な損失リスクが深刻化します。

1. 既存従業員の疲弊と離職リスク

欠員のしわ寄せは、残された数名のメンバーに集中します。

  • 残業代・外注費の増加:無理なスケジュールをこなすための残業代や、高単価な外注への依存が増加します。
  • 生産性の低下:疲労から集中力が低下し、作業効率の悪化やミス(手戻り)が増え、さらなるコスト増を招きます。
  • 優秀な人材の流出:負担増に耐えかねた既存の優秀な従業員が離職してしまうと、事業継続そのものが危うくなります。

2. 会社の信用と将来の機会損失

外構工事業にとって、工期厳守と品質は生命線です。

  • 工期遅延による賠償リスク:人員不足で工期が遅れれば、施主や元請けからの信用の失墜損害賠償請求につながる可能性があります。
  • 新規事業への投資の停止:利益の減少により、新しい重機や技術への投資、または新たな営業エリアの開拓といった会社の成長に必要な投資ができなくなります。

🎯 まとめ:「採用」はコストではなく「売上の源泉」

中小の外構工事業において、**従業員1名の採用は「コスト」ではなく、「年間数千万円の売上と数百万円の利益を守り、拡大するための最重要投資」**です。

採用活動が難航している場合、失っているのは給与以上の「会社の未来」であることを、この機会に再認識していただければ幸いです。

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