🏗️ 【特集】南海トラフ巨大地震に備える! 日本建設業連合会(日建連)が担う「国土強靭化」と「復旧の最前線」

はじめに:なぜ今、建設業の役割に注目すべきなのか

私たちの日々の生活を支えるインフラや建物。その建設を担うのが、日本の建設業です。中でも、**一般社団法人 日本建設業連合会(日建連)**は、全国の総合建設業者(ゼネコン)を束ねる業界のトップランナーです。

日建連の活動は、単に建物を造るだけでなく、「日本の国土をいかに強靭にするか」という国家的な課題に直結しています。特に、切迫が指摘される南海トラフ巨大地震への対策は、彼らの最重要ミッションの一つです。

本稿では、日建連の全体像から、彼らが政府に提言している具体的な防災・強靭化策、そして発災時に建設企業が果たすべき具体的な役割(BCP・広域応援)まで、詳しく掘り下げていきます。


第1章:日本建設業連合会(日建連)とは?

日建連は、日本の建設産業の健全な発展と、国民生活・産業活動の基盤充実に寄与することを目的として、大手・中堅の総合建設会社(ゼネコン)約150社で構成されています。

1.1 業界を牽引する三つの柱

日建連の活動は、日本の建設業が抱える課題解決に直結しています。

  • 担い手確保と働き方改革: 建設業の「2024年問題」(時間外労働の上限規制)への対応、週休二日の定着、技能労働者の賃金向上など、労働環境の改善と人材育成を推進しています。
  • 技術開発と生産性向上(DX): BIM/CIMの活用、建設ロボットやAI技術の導入、i-Constructionの推進など、デジタル技術を活用した生産性向上に取り組んでいます。
  • 安全対策と社会貢献: 労働災害の防止に加え、優れた建築作品を表彰する「BCS賞」の選定や、現場見学会を通じた建設業の魅力発信を行っています。

1.2 建設業が直面する最大の課題:南海トラフ地震

日建連が最も注力する課題の一つが、首都圏直下地震や南海トラフ巨大地震への対応です。これらの大規模広域災害は、日本の社会経済活動を一気に停止させるリスクがあります。建設業は、**「災害の事前対策」「発災後の応急復旧」**の両面で、中核的な役割を果たす使命を負っています。


第2章:南海トラフ巨大地震に備える日建連の提言

日建連は、建設業の専門的知見に基づき、国や行政に対し具体的な**「防災・減災、国土強靭化」**を求める提言を毎年行っています。

2.1 強靭なインフラを構築するための要請

最も強い提言は、「中長期にわたる安定的な予算措置」の確保です。

  • 「防災・減災、国土強靭化」の継続的推進: 激甚化する自然災害への対応として、現在の**「5か年加速化対策」**以降も、中長期的な計画に基づき、継続的に財源を確保するよう提言しています。
  • 重要インフラの徹底的な強化: 災害応急活動の生命線となる港湾、空港、幹線道路(啓開ルート)、病院、学校などの重要インフラについて、耐震化、液状化対策を最優先で、かつ迅速に実施するよう求めています。
  • 建築物の耐震化促進: 旧耐震基準の建築物、特に延焼リスクの高い密集市街地の建物や、避難路沿道にある建物の耐震化・不燃化を促進するための、財政支援や制度誘導の強化を求めています。

2.2 発災後の復興をスムーズにする提言

災害発生後の混乱を避けるため、事前の準備を促しています。

  • 事前復興計画(PDR)の推進: 被災後の復興を迅速に行うため、**「復興の基本方針」「まちづくりの方向性」**を、住民、行政、民間企業が一体となって事前に合意形成しておく(事前復興計画)ことの重要性を強調しています。
  • 適正な工期の設定: 復旧・復興工事の質を確保するため、発注者側に対し、無理のない適正な工期設定を徹底し、労働環境の悪化を防ぐよう求めています。

第3章:企業のBCP(事業継続計画):災害発生時の活動基盤

提言活動と並行して、日建連は会員企業に対し、災害発生時に「応急復旧の担い手」としての使命を果たすための**BCP(事業継続計画)**策定と実践を強く促しています。

3.1 人命優先と二次災害の防止

建設企業のBCPは、何よりも従業員と現場の安全確保から始まります。

  • 安全確保と安否確認: 津波浸水想定区域内の事業所や工事現場では、「南海トラフ地震臨時情報」発表時や発災直後の従業員の事前避難・退避を最優先とします。発災直後の通信途絶に備え、複数の手段を用いた安否確認訓練を定期的に実施します。
  • 現場の安全対策: 施工中の現場においては、地震による仮設構造物の倒壊や、クレーンなど重機の転倒、資機材の落下による二次災害を防ぐための徹底した事前点検・補強策を講じます。

3.2 復旧活動に必要な資源の確保

自社の施設・機能が被害を受けても、復旧活動に必要なリソースは守り抜かなければなりません。

  • 燃料・資機材の備蓄: 応急復旧の生命線となる建設重機(バックホウ、ブルドーザー)に使用する燃料(軽油)や、災害対応要員のための食料、水、簡易トイレなどを、最低でも3日分、可能であれば1週間分以上備蓄することを義務付けています。
  • 重要データの保全: 設計図面、顧客データ、労務データといった重要情報を、クラウドや遠隔地の安全な場所へ二重にバックアップし、発災後の業務再開に備えます。

第4章:災害応急活動の最前線!「広域応援体制」の仕組み

南海トラフ巨大地震では、被災地単独での復旧は不可能です。日建連は、被災地外からの**「広域応援体制」**の整備と実践において中心的な役割を果たします。

4.1 官民一体となった災害協定の履行

広域応援は、国や自治体と建設企業が平時から締結している**「災害協定」**に基づいて発動されます。

  • 役割分担:
    • 国・自治体: 復旧活動の全体計画策定、緊急輸送ルートの指定、応援部隊への作業要請を行います。
    • 建設企業: 協定に基づき、人、重機、資機材、そして燃料を動員し、被災地に投入されます。
  • リエゾン(連絡調整員)の派遣: 発災直後、日建連は経験豊富な職員を国や自治体の災害対策本部へリエゾンとして派遣します。これにより、被災地のリアルタイムのニーズと、応援部隊が提供可能なリソースとの間での情報共有と調整を迅速に行い、ミスマッチを防ぎます。

4.2 災害時の「生命線」を確保する活動

広域応援部隊の初期の最重要任務は、**「道路啓開」**です。

  • 道路啓開の迅速化: 地震により倒壊したがれきや土砂で埋まった緊急輸送道路を、重機を用いて迅速に除去し、人命救助隊や緊急物資輸送車両が通行できるルートを確保します。この活動は、被災地外から持ち込まれた燃料や資機材によって支えられます。
  • 広域応援のための準備: 応援部隊が現地で活動を始める際、緊急通行車両の事前届出を徹底しているため、一般車両の通行が規制されてもスムーズに被災地へ入ることが可能です。

まとめ:強靭な国土は建設業の「総合力」が支える

日本建設業連合会(日建連)は、技術革新を推進し、労働環境を改善しながら、同時に日本の国土を災害から守るという極めて重い責任を担っています。

南海トラフ巨大地震への備えは、単に建物を耐震化するだけでなく、**「災害が起きても事業を継続できる企業の力(BCP)」と、「全国の建設業が一体となって助け合う広域的な連携体制」**の「総合力」によって支えられています。

私たちの安全な暮らしは、こうした建設業界のたゆまぬ努力と、平時の提言、そして災害時の献身的な活動によって守られているのです。