交通誘導警備員の過失で、土木現場で交通事故が発生した場合、建設会社も刑事罰を科されるか?

はい、土木現場で交通誘導警備員の過失による交通事故が発生した場合、建設会社も刑事罰を科される可能性があります。

これは、主に以下の理由によります。

業務上過失致死傷罪(刑法第211条)

警備員の過失が原因で死傷者が出た場合、まず警備員本人に業務上過失致死傷罪が成立します。この「業務」には、建設現場での交通誘導業務も含まれます。

そして、建設会社は、警備員を管理・監督する立場にあるため、その責任を問われることになります。特に、以下のような状況では、建設会社の責任が重く問われる可能性があります。

  • 安全管理体制の不備: そもそも、警備会社への業務発注や、現場での安全管理体制に不備があった場合。
  • 危険な状況の放置: 警備員が危険な誘導をしていることを知っていながら放置していた場合。
  • 十分な教育・指示の欠如: 警備員に対して、適切な教育や危険回避のための具体的な指示がなされていなかった場合。

この場合、直接事故を起こしたわけではなくても、建設会社の**「業務上の過失」**が認められ、刑事責任を問われることがあります。

刑事罰の種類

建設会社が問われる可能性のある刑事罰は、主に罰金刑です。これは、刑法に定められた両罰規定(りょうばつきてい)に基づきます。両罰規定とは、法人の事業活動に関連して従業員が犯罪行為を行った場合、従業員本人だけでなく、その法人(会社)にも罰金刑を科すというものです。

また、事故の悪質性や被害の大きさが極めて重大な場合、会社の代表者や現場の責任者が業務上過失致死傷罪の共犯として、懲役刑を科される可能性もゼロではありません。

監督処分

刑事罰とは別に、国土交通省や都道府県による行政上の監督処分(営業停止、指示処分など)を受ける可能性もあります。特に、工事の安全管理を怠ったと判断された場合、建設業法に基づく処分が行われることがあります。

要するに、警備員の過失による事故であっても、建設会社は「警備員を配置すれば安全は確保された」とは考えられません。工事の元請けとして、現場全体の安全管理について重い責任を負うことになります。

したがって、信頼できる警備会社を選定し、現場での安全管理を徹底することが、建設会社自身の法的リスクを回避する上で極めて重要です。

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