一人の労働者について、トライアル雇用助成金とキャリアアップ助成金を同時に受給できるか?

一人の労働者について、トライアル雇用助成金とキャリアアップ助成金を同時に受給することは可能です。ただし、「同時期に」ではなく、「一定の期間を置いて段階的に」となります。

これらの助成金は、それぞれ異なる目的と要件を持っています。

  • トライアル雇用助成金:
    • 目的: 職業経験の不足などから安定した就職が困難な求職者を、ハローワーク等の紹介により試行的に雇用する事業主に対して助成する。
    • 期間: 原則3ヶ月間。
    • 対象: 3ヶ月間の試行雇用。
  • キャリアアップ助成金(正社員化コース):
    • 目的: 有期雇用労働者や無期雇用労働者などの非正規雇用労働者を正規雇用労働者に転換する事業主に対して助成する。
    • 期間: 転換前に6ヶ月以上、転換後に6ヶ月以上雇用。
    • 対象: 非正規雇用から正規雇用への転換。

具体的な受給の流れ

一人の労働者で両方の助成金を受給する場合、以下のような段階を踏むのが一般的です。

  1. トライアル雇用期間(3ヶ月間):
    • ハローワークを通じて、トライアル雇用の求人に応募してきた求職者を、3ヶ月間の試行雇用として採用します。
    • この期間中に、トライアル雇用助成金の対象となります。
  2. トライアル期間終了後:
    • トライアル雇用期間が終了し、本人の適性や勤務態度に問題がなければ、次のステップとして無期雇用労働者として雇用を継続します。この時点で、トライアル雇用助成金の支給申請を行います。
  3. 無期雇用期間(6ヶ月以上):
    • トライアル期間終了後、無期雇用労働者として6ヶ月以上雇用します。この期間は、キャリアアップ助成金の要件である「転換前の雇用期間」に該当します。
  4. 正社員への転換:
    • 無期雇用労働者として6ヶ月以上が経過した後、正社員に転換します。この際、賃金を3%以上増額するなど、所定の要件を満たす必要があります。
  5. 正社員雇用期間(6ヶ月以上):
    • 正社員に転換後、さらに6ヶ月以上継続して雇用します。
    • この期間が経過した後、キャリアアップ助成金(正社員化コース)の支給申請を行います。

このように、トライアル雇用助成金は「試行雇用」に対して、キャリアアップ助成金は「正社員への転換」に対して支給されるため、時間差を設けて段階的に申請することで、同一の労働者について両方の助成金を受給することが可能です。

ただし、キャリアアップ助成金の正社員化コースには、有期雇用から正規雇用への転換と、無期雇用から正規雇用への転換で助成額が異なります。トライアル雇用から無期雇用を経て正規雇用に転換する経路の場合、助成額が半額になるケースもありますので、事前に両方の助成金制度の詳細をよく確認しておくことが重要です。

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