SNS採用広告の相場、特に建設業向けについて。

SNS採用広告の費用は、広告を掲載する媒体(プラットフォーム)、課金方式、ターゲティング精度、広告クリエイティブの質、そして業界の競合状況など、多くの要因によって変動します。一概に「いくら」とは断定できませんが、一般的な相場と建設業における傾向を詳しく解説します。


SNS採用広告の費用相場(全体像)

SNS広告は、少額からでも始められる柔軟性が大きな特徴です。日額数百円からの出稿も可能ですが、ビジネスとして成果を追求する場合、以下のような相場観となります。

1. 課金方式別の単価相場

SNS広告の主な課金方式と、それぞれの費用相場は以下の通りです。

課金方式目的相場(目安)概要
クリック課金 (CPC)サイト誘導、応募獲得40円~300円 / 1クリックユーザーが広告をクリックし、採用サイトやLPに遷移した際に費用が発生します。
インプレッション課金 (CPM)認知拡大、ブランディング400円~1,200円 / 1,000回表示広告が1,000回表示されるごとに費用が発生します。多くの人に企業や求人情報を知ってもらいたい場合に適しています。
動画視聴課金 (CPV)認知・興味喚起(動画)3円~20円 / 1再生動画が一定時間(例:10秒以上)または最後まで再生された場合に費用が発生します。(主にYouTube、TikTok、Instagram)
エンゲージメント課金 (CPE)反応(いいね、コメントなど)獲得40円~100円 / 1エンゲージメントユーザーが「いいね」「シェア」「コメント」などのアクションを起こした際に費用が発生します。(主にX/Twitter)

2. 月額予算の相場

企業規模や目標によって予算は大きく異なりますが、一般的な運用予算の目安は以下の通りです。

企業規模月額予算の目安運用目的の目安
小規模・テスト運用1万円~10万円媒体やクリエイティブの相性テスト、ターゲットの絞り込み検証
中小企業・本格運用10万円~50万円PDCAを回しながら獲得効率を改善、採用目標達成に向けた安定運用
大企業・大規模展開50万円~数百万円以上複数のSNS媒体・ターゲット層への同時アプローチ、ブランド認知向上

【ポイント】

  • 成果を出すためのAI学習を考慮すると、月額20万円以上の予算が推奨されるケースが多いです。特にFacebook/Instagram広告では、週に50件程度のコンバージョン(応募やクリックなど)のデータ蓄積が最適化に必要とされており、そのためには一定の配信ボリュームが求められます。

建設業向けSNS採用広告の詳細

建設業の採用においてSNS広告を活用する際は、その職種特性やターゲット層を考慮した戦略と費用対効果の検証が重要です。

1. 建設業における採用単価の傾向

建設業の求人広告費用は、他の職種と比較して高くなる傾向があります。一般的に、求人サイトを利用した場合の採用単価(1人あたり)は、中途採用で20万円~100万円(月)、正社員で20万円程度からが相場とされています。

SNS広告の場合も、高い効果を狙うとそれに近い水準の広告投資が必要になることが見込まれますが、適切なターゲティングとクリエイティブにより、既存の求人媒体よりも効率的な採用が期待できます。

2. 建設業におすすめのSNS媒体と特徴

建設業のターゲット層に応じて、推奨されるSNS媒体と特徴をまとめます。

媒体主なターゲット層相場観(CPC/CPM)建設業での活用方法
Instagram(インスタグラム)20~40代(特に若手、未経験層)CPC:40~100円、CPM:500~1,000円現場の活気、達成感、仕事風景などを視覚的に訴求。写真や動画で「カッコいい」「楽しそう」といったイメージを伝え、企業ブランディングと若手採用に活用。
TikTok(ティックトック)10~20代の若年層CPC:30~150円、CPM:300~1,500円短尺動画で職場の雰囲気や、作業の様子をカジュアルに紹介。未経験層への認知拡大や興味喚起に特化。
Facebook(フェイスブック)30代以上、ビジネス層、経験者CPC:100~300円、CPM:100~500円実名登録制のため、ターゲティング精度が高く、経験者や管理職候補へのアプローチに有効。「安定性」「技術力」「キャリアアップ」を訴求。
LINE(ライン)全年代(特に国内リーチ率が高い)CPC:20~200円、CPM:100~1,200円国内の全年代に幅広くリーチできるため、地域密着型企業や幅広い職種(事務、現場、技術者など)の募集に活用。

3. 建設業における応募単価(CPA)の目安

SNS採用広告において、最終的な費用対効果を示すのが**CPA(Cost Per Acquisition:顧客獲得単価、ここでは「応募単価」)**です。

  • 一般的なSNS広告での応募単価目安: 応募単価は業種や職種によって大きく異なりますが、一般的な転職サイトでの応募単価が1万円~数万円であるのに対し、SNS広告では5,000円~30,000円程度が目安となることが多いです。
  • 建設業での応募単価: 建設業は専門性が高いため、経験者採用の難易度が高く、結果的に応募単価は高くなる傾向があります。しかし、適切な動画・画像クリエイティブで未経験層の興味を喚起できれば、単価を抑えることも可能です。
    • 目安として、応募単価3万円~5万円程度を許容できるかどうかで、本格的な運用戦略を練る必要があります。

費用対効果を高めるための戦略

SNS採用広告の費用対効果を最大化するためには、単に広告費を投じるだけでなく、以下の要素に注力することが不可欠です。

1. ターゲティングの最適化

SNS広告の最大の強みは、詳細なターゲティングが可能な点です。建設業においては、以下のようなターゲティングが有効です。

  • 地域ターゲティング: 建設現場や事業所からの通勤圏内に限定して広告を配信し、無駄な露出を減らします。
  • 興味・関心ターゲティング: 「DIY」「工具」「重機」「ものづくり」といったキーワードに関心を持つユーザーや、競合他社の情報にアクセスしている層などをターゲットに設定します。
  • リターゲティング: 過去に自社の採用サイトを訪れたが応募に至らなかったユーザーに、再度広告を配信し、応募を促します。

2. 魅力的なクリエイティブの制作

特に建設業では、「キツい」「汚い」「危険」といった従来のネガティブイメージを払拭することが重要です。

  • 「現場のリアル」を伝える動画: 若手社員が活躍する様子、最新技術の導入、働く環境の改善(休憩スペース、福利厚生)、チームワークの良さなどを、視覚に訴える動画で発信します。
  • 会社の雰囲気が伝わる画像: 休憩中の笑顔、社員イベント、完成した建造物と社員の集合写真など、「人」と「成果」を際立たせるクリエイティブはエンゲージメント率を高めます。
  • 情報量と導線の最適化: 広告クリック後のランディングページ(LP)や採用サイトは、仕事内容、給与、福利厚生などを分かりやすく明記し、応募への導線を簡潔にすることが重要です。

3. 代理店利用時の費用

自社での運用が難しい場合、広告代理店に依頼することになります。その際の費用は主に以下の構成になります。

  • 広告費(実費): 実際にSNSプラットフォームに支払う費用。上記課金方式の相場に基づきます。
  • 運用手数料(代行費): 広告費の20%前後が相場です。ただし、広告費が少額の場合(例:月30万円未満)は、**固定の最低手数料(月5万~10万円など)**が設定されることもあります。
  • 初期費用: アカウント開設、戦略立案などで数万円程度かかる場合があります。(無料の代理店もあります)
  • クリエイティブ制作費: 動画やバナー制作を依頼する場合、別途費用が発生します。(簡易バナー1枚5千円~、動画制作数万円~数十万円)

まとめ

SNS採用広告の相場は、以下の要素が複合的に絡み合って決まります。

  1. 課金単価: CPC 40円~300円、CPM 400円~1,200円が一般的。
  2. 月額予算: テスト運用で10万円前後、本格運用で月20万円~50万円以上が目安。
  3. 建設業の特性: 経験者・専門職の採用難易度から、応募単価は比較的高くなる傾向(目安:3万円~5万円程度)にあり、特に視覚に訴える動画クリエイティブの質が成否を分けます。

結論として、建設業がSNS採用広告で成果を出すためには、まず月額10万円~20万円程度の予算でターゲットとクリエイティブのテスト運用を行い、最も反応が良い「勝ちパターン」を見つけた上で、本格的に予算(月30万円~50万円など)を投下し、目標CPAの達成を目指すことが最も現実的かつ効果的なアプローチと言えます。

\ 最新情報をチェック /