【採用と定着を成功させる】中小建設業が活用すべき国・業界の「攻めの支援策」3選
日本の建設業界の未来は、私たち中小企業の一歩にかかっています。「毎年1人」の若手を採用し、定着させ続けることができれば、業界全体の高齢化問題は解消に向かいます。
しかし、その「採用・定着」活動にはコストがかかります。そこで、国や業界が提供する支援策を最大限に活用し、費用負担を軽減しながら魅力的な職場を作る具体的な方法を解説します。
📌 1. 「採用コスト」を抑え、定着で報われる助成金活用術
採用活動や新人研修にかかる費用を大幅にカバーできるのが、厚生労働省の各種助成金です。特に中小建設業が活用しやすい3つの助成金をご紹介します。
| 助成金名 | 目的と具体的な活用方法 |
| 人材確保等支援助成金 (若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース) | 採用活動から定着まで一体的に支援 若年者向け現場見学会やインターンシップの実施費用、職場環境改善(週休2日化、ICT導入)の費用に充当できます。特に、新規入職者が6か月定着すると、1人当たり42万円(中小企業の場合)の賃金助成が上乗せされる**「定着へのご褒美」**が最大の魅力です。 |
| 人材開発支援助成金 (建設分野) | 若手社員のスキルアップを支援 1級・2級施工管理技士、建築士などの資格取得に必要な外部講習費用や、受講中の賃金の一部を助成します。若手の「成長したい」という意欲を会社が支援する姿勢を見せることで、定着率が向上します。 |
| 働き方改革推進支援助成金 | 残業削減のためのIT導入を支援 労働時間短縮(週休2日化など)の取り組みに伴い、勤怠管理システムや施工管理アプリといったICTツールを導入する費用を助成します。煩雑な事務作業を効率化し、若手が重視する**ワークライフバランス**を実現するための必須施策です。 |
🛠️ 【活用への第一歩】
まずは地域のハローワークまたは社会保険労務士に相談し、自社の取り組みがどの助成金の対象となるか、事前に確認しましょう。
📌 2. 処遇改善と信頼性のカギ「CCUS」の戦略的活用
**建設キャリアアップシステム(CCUS)**は、単なる登録義務ではありません。中小企業が若手の定着と企業の信頼度を高めるための「最強の武器」です。
| CCUSがもたらす具体的メリット | 採用・定着への影響 |
| 技能者の「見える化」 | 技能者の経験や資格が客観的に記録されるため、若手が「頑張ればゴールドカード(高レベル)になれる」という明確なキャリアパスを持てるようになります。将来不安の解消に直結します。 |
| 企業の実力証明 | CCUSを導入している企業は、公共工事の経営事項審査(経審)で加点されます。これは、「技能者の処遇改善に取り組む優良企業」として認められることを意味し、受注機会の増加と企業の安定化につながります。 |
| 業務の効率化 | ICカードによる入退場管理で、煩雑だった出面管理や安全書類(グリーンファイル)作成の手間が大幅に軽減されます。現場管理の効率化は、残業削減(働き方改革)の土台となります。 |
🔑 【活用への第一歩】
事業者の登録と、自社で雇用する技能者全員の登録を完了させましょう。その上で、CCUSのレベル判定基準に基づいた昇給・昇格制度を策定し、若手に提示することが重要です。
📌 3. 地域と連携し「採用のパイプ」を太くする
若手採用の成功は、自社内だけでなく、地域社会との連携にかかっています。
- 高校との連携(「つなぐ化」事業)
- 業界団体や自治体と連携し、地元の工業高校や普通科の高校生向けに**「現場見学会」や「出前授業」**を積極的に実施しましょう。建設業のリアルな魅力や社会貢献性を伝えることで、地域からの安定的な採用ルートを築けます。
- 「ものづくりマイスター」の活用
- 業界団体の制度を利用し、熟練技能者を若手へのOJT指導者として活用する支援を受けましょう。経験豊富なベテランによるマンツーマン指導は、若手の早期離職を防ぎ、技術継承を確実にする最大の定着策です。
✅ まとめ
中小建設業の「毎年1人採用・定着」という小さな一歩は、助成金で費用をカバーし、CCUSで企業と個人の価値を高め、地域との連携で採用を安定させるという、**「攻めの戦略」**によって達成可能です。
これらの国の支援策を最大限活用し、「選ばれる会社」として、業界の未来を築いていきましょう。
