従業員20名以下建設業、キャリアアップ助成金を活用、採用費用を削減した具体例とは?

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者を正規雇用に転換することで助成金が支給される制度です。そのため、採用活動にかかった費用を直接的に補填するものではありません。しかし、うまく活用することで、結果として採用費用を削減したのと同等の効果を得ることができます。

ここでは、従業員20名以下の建設業が、キャリアアップ助成金(正社員化コース)を活用して、採用費用を実質的に削減した具体的な事例を解説します。

事例:求人広告費を抑え、定着率を上げる戦略

ある従業員18名の建設会社では、求人広告に多額の費用をかけても、なかなか定着しない若手人材の採用に悩んでいました。そこで、採用の入り口を「正社員」ではなく「正社員登用ありの契約社員」に変更する戦略を立てました。

1. 採用コストの削減

  • 求人広告の変更: 「正社員募集」から「正社員登用ありの契約社員募集」に切り替えることで、求人媒体によっては掲載費用が安価になる場合があります。また、最初から正社員として雇用するよりも、試用期間として契約社員で働くことに抵抗がない求職者が増え、応募の間口を広げることができました。
  • ターゲット層の変化: 建設業に興味はあるものの、いきなり正社員として働くことに不安を感じている若者をターゲットにしました。これにより、面接回数を減らし、採用にかかる工数を削減することができました。

2. 助成金の活用

  • 6ヶ月間の契約社員期間: 採用した若手労働者には、6ヶ月間をかけて実際の現場でOJT(現場研修)を実施しました。この期間は、会社側が本人の適性を見極め、本人も会社の雰囲気や仕事内容に慣れるための期間としました。
  • 正社員への転換と助成金申請: 契約社員として6ヶ月以上勤務し、本人の能力や勤務態度を評価した上で、正社員に登用しました。この際、賃金を3%以上増額するなどの要件を満たし、キャリアアップ助成金(正社員化コース)を申請しました。
  • 受給した助成金: 正社員転換後に助成金が支給されました。この助成金は、求人広告費などの採用活動に直接使った費用を補填するものではありませんが、正社員登用に伴う人件費の増加分を実質的にカバーすることができます。

結果:採用費用の削減効果

この会社は、キャリアアップ助成金を活用したことで、以下のような結果を得ました。

  • 直接的な採用コスト削減: 契約社員での募集に切り替えたことで、高額な求人広告の費用を抑えることができました。
  • 定着率の向上: まず契約社員として試用期間を設けることで、入社後のミスマッチを防ぎ、結果として高い定着率を実現しました。
  • 人件費の補填: 正社員への転換に伴う賃金増加分が助成金で補填されるため、採用・育成にかかる総コストを実質的に大幅に削減できました。

この事例は、キャリアアップ助成金が採用の「入り口」から「定着」までのプロセス全体を支援し、結果的にコスト削減と人材確保の両方を実現する有効な手段であることを示しています。

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