【静岡県・中小建設業社長様】9月以降、静岡の建設会社は要注意?建設Gメンが見る「労務費」と「価格転嫁」への備え
「最近、元請けから見積書について細かく聞かれるようになった」
「労務費の根拠を説明してほしいと言われた」
「材料費が上がっているのに、なかなか価格に反映してもらえない」
静岡県内の建設会社の経営者から、こうした相談を受ける機会が増えています。
特に9月以降、建設業界では**「適正な価格転嫁」と「労務費へのしわ寄せ防止」**が、これまで以上に重要なテーマになります。
その背景にあるのが、国土交通省が進める「建設Gメン」の取り組みです。
建設Gメンという言葉を聞くと、
「行政から突然調査されるのでは?」
「何か問題があったら指導されるのでは?」
と身構えてしまう方もいるかもしれません。
しかし、本当に重要なのは「建設Gメンを恐れること」ではありません。
大切なのは、
「自社の労務費や見積金額を、きちんと説明できる状態になっているか」
です。
今回は、静岡県の建設会社が9月以降に特に注意しておきたいポイントを、経営者の方向けに整理します。
そもそも「建設Gメン」とは?
建設Gメンは、建設業における適正な取引や労務費の確保などを目的として、建設業者への実態調査や立入調査、情報収集などを行う国土交通省の取り組みです。
建設業界では、長年、
「元請けから下請けへ」
「下請けからさらに専門工事会社へ」
と仕事が流れていく中で、立場の弱い事業者に価格交渉の負担が集中することが問題となってきました。
特に近年は、
- 資材価格の高騰
- 燃料費の上昇
- 人件費の上昇
- 人手不足
- 賃上げ
などによって、工事に必要なコストそのものが上昇しています。
ところが、受注金額がそれに追いつかなければ、最終的に誰かがその負担をかぶることになります。
その負担が下請けや現場の労働者に集中してしまえば、
「利益が出ない」
「従業員の賃金を上げられない」
「若い人材を採用できない」
という悪循環につながります。
そこで現在、国は労務費を含めた適正な価格転嫁を進める方向に大きく舵を切っています。
9月は「価格交渉促進月間」
建設会社の経営者が覚えておきたいのが、
3月と9月の「価格交渉促進月間」
です。
価格交渉促進月間では、企業間取引における価格転嫁の状況を確認し、取引先との価格交渉・価格転嫁を促進する取り組みが行われます。
建設業においても、労務費や原材料費などの上昇分を適切に価格へ反映できているかという点が、重要なテーマになります。
そのため9月以降は、
「以前からこの金額だから」
「昔からこの単価だから」
というだけでは、説明が難しくなる場面が増えていくと考えられます。
特に、
「なぜ、この金額なのか?」
を説明できることが重要になります。
建設Gメンが見るのは「金額」だけではない
ここは非常に重要です。
建設Gメンの調査というと、
「結局、いくらで契約しているかを見られるんでしょ?」
と思われるかもしれません。
しかし、重要なのは金額だけではありません。
その金額が、どのような根拠で決められたのか。
ここがポイントになります。
例えば、ある工事について、
「労務費100万円」
と書かれていたとします。
では、その100万円はどうやって計算したのでしょうか?
施工数量は?
必要な人工数は?
1人工あたりの単価は?
当初の見積と最終的な契約金額で、労務費はどう変化したのか?
こうしたことを説明できるでしょうか。
今後は、
「とりあえずこの金額です」
ではなく、
「この数量に対して、これだけの人工が必要で、1人工あたりこの単価なので、この労務費になります」
という説明が重要になってきます。
「人工数」の根拠を説明できますか?
建設会社にとって、特に重要なのが「人工数」です。
例えば、
「この工事には100人工必要です」
と見積もったとします。
では、
なぜ100人工なのでしょうか?
過去の工事実績なのか。
施工数量から算出したのか。
標準的な歩掛なのか。
現場条件を考慮したのか。
職種ごとに必要人数を計算したのか。
この根拠を説明できるようにしておくことが大切です。
さらに、
「人工数 × 1人工あたりの単価」
という形で整理しておけば、労務費の説明もしやすくなります。
例えば、
土工 30人工 × ○円
型枠工 20人工 × ○円
鉄筋工 15人工 × ○円
など、工事内容に応じて整理しておく。
もちろん、実際の見積方法は会社や工事によって異なります。
重要なのは、
「自社では、なぜこの金額になったのか」を説明できること
です。
公共工事設計労務単価も「参考になる数字」
労務費を考えるうえで、公共工事設計労務単価も重要な参考情報になります。
ただし、
「公共工事設計労務単価=民間工事の契約単価」
という単純な話ではありません。
工事の条件も違いますし、会社が負担する経費などもあります。
しかし、近年の労務費や賃金水準を考えるうえで、こうした公的な指標を把握しておくことは、自社の見積を説明するうえでも役立ちます。
特に、
「なぜ、この人工単価なのか?」
と聞かれたときに、
「過去の契約がこの金額だったから」
だけではなく、
「現在の労務費水準や人件費の上昇を踏まえて、この金額で積算しています」
と説明できる会社のほうが強いでしょう。
「材料費は上がったけど、労務費はそのまま」は危険
ここ数年、建設業では資材価格の上昇が大きな問題になりました。
材料費が上がった。
燃料費も上がった。
運搬費も上がった。
そして、人件費も上がっている。
ところが、
「材料費は仕方ないけど、労務費は今まで通りで」
という状態になれば、現場を支える会社に負担が集中してしまいます。
結果として、
「売上はあるのに利益が残らない」
ということになります。
さらに、その状態が続けば、
「社員の給与を上げられない」
「採用できない」
「若手が辞める」
という、人手不足の問題にもつながります。
つまり、
適正な労務費を確保することは、単なる「価格交渉」の問題ではありません。
会社を存続させるための経営問題でもあるのです。
9月以降、元請け側の意識も変わっていく
ここは、下請け・協力会社の立場にある建設会社にとって重要です。
これまでは、
「元請けに値上げをお願いしづらい」
「単価を上げてほしいと言ったら、次の仕事が来なくなるのでは?」
という不安から、価格交渉をためらう会社もあったと思います。
しかし、現在は国を挙げて、
適正な価格転嫁を進める方向
に動いています。
元請け側も、
「下請けから価格改定の申し入れがあったら、きちんと協議する」
という姿勢が、これまで以上に求められるようになります。
だからこそ、下請け側も、
「何となく値上げしてほしい」
ではなく、
「これだけコストが上昇しているため、この金額が必要です」
と説明できる資料を準備しておくことが重要です。
自社が元請けなら、さらに注意が必要
一方、自社が元請けとして下請けや協力会社に仕事を発注している場合は、逆の立場になります。
つまり、
「自社が適正な労務費を支払う側になっているか」
を確認する必要があります。
例えば、
下請けから見積書が提出された。
そこには労務費が記載されている。
しかし、
「もう少し安くならない?」
「前回と同じ金額でお願い」
と、根拠もなく一方的に価格を下げていないでしょうか。
もちろん、見積内容を協議すること自体が問題なのではありません。
重要なのは、
合理的な根拠に基づいて協議しているか
ということです。
自社が元請けであっても、下請けであっても、
「適正な価格で取引する」
という考え方が、これからますます重要になります。
「見積書を残す」だけでは不十分
では、具体的に何を準備すればいいのでしょうか。
まずおすすめしたいのは、
見積の根拠を残すこと
です。
例えば、
- 施工数量
- 人工数
- 職種別の人工
- 1人工あたりの単価
- 材料費
- 外注費
- 運搬費
- その他必要経費
- 過去見積との比較
- 価格改定の理由
などです。
そして、当初見積から最終契約までに金額が変わった場合には、
「なぜ変わったのか」
も記録しておきます。
これだけでも、後から説明を求められたときの対応が大きく変わります。
「口頭で説明した」は一番弱い
建設業では、
「社長同士で話した」
「電話で説明した」
「いつもの単価だから」
という取引も、まだあると思います。
しかし、これからはできるだけ、
書面やデータで残す
ことをおすすめします。
例えば、
「資材価格が○%上昇したため」
「労務費単価が○円上昇したため」
「施工数量が当初予定より増加したため」
など、変更理由を簡単に記録しておく。
メールでも構いません。
見積書の備考欄でも構いません。
大切なのは、
後から第三者が見ても、金額が変わった理由を確認できること
です。
9月以降は「フォローアップ」も重要になる
価格交渉促進月間が終わったからといって、そこで終わりではありません。
その後には、取引状況や価格交渉の実態を確認するためのフォローアップも行われます。
そして、価格交渉や価格転嫁の状況が著しく問題となる企業については、関係法令に基づく指導・助言などにつながる可能性があります。
つまり、
「9月だけ気をつければいい」
という話ではありません。
むしろ今後、
「適正な価格で取引する」
「労務費を適切に確保する」
「価格交渉の経緯を記録する」
ということが、建設業界の通常の商慣行になっていくと考えたほうがいいでしょう。
静岡県の中小建設会社が今やっておきたい5つのこと
ここまでの話を踏まえて、今のうちに取り組んでおきたいことを5つにまとめます。
① 自社の労務費単価を確認する
現在、自社では職種ごとにどの程度の労務費を見込んでいるのか。
過去の単価のままになっていないか。
一度確認してみましょう。
② 人工数の根拠を整理する
「なぜ100人工なのか?」
を説明できるようにしておく。
施工数量や過去の実績など、根拠を整理しておきましょう。
③ 当初見積と最終契約を比較する
最初の見積では労務費がいくらだったのか。
最終的にいくらになったのか。
その差額はなぜ発生したのか。
確認しておきましょう。
④ 価格交渉の記録を残す
値上げを申し入れた。
元請けから回答があった。
協議を行った。
最終的にこの金額で合意した。
こうした経緯を記録しておきましょう。
⑤ 元請け側なら、下請けの労務費も確認する
自社が元請けの場合、
「下請けに無理な価格を押しつけていないか?」
という視点も必要です。
建設Gメン対策ではなく、「会社を守る仕組み」と考える
ここまで読むと、
「建設Gメンが来ても大丈夫なように、資料を作っておこう」
と思うかもしれません。
もちろん、それも大切です。
でも、もっと本質的な意味があります。
見積の根拠を整理する。
人工数を管理する。
労務費を把握する。
価格交渉の記録を残す。
こうした取り組みは、建設Gメン対策だけではありません。
自社の利益を守るためにも必要な経営管理です。
例えば、
「この工事、結局いくら利益が出た?」
「人工を使いすぎていないか?」
「この職種の単価は適正なのか?」
「来年、社員の給与を上げるためには、いくらの受注単価が必要なのか?」
こうした経営判断にもつながります。
最後に
これからの建設業では、
「安く受注する会社」より、「適正な価格で仕事を続けられる会社」
のほうが強くなっていくはずです。
人手不足の中で、社員の給与を上げる。
若い人材を採用する。
ベテランの技能を次世代に引き継ぐ。
設備を維持する。
会社として利益を残す。
そのためには、適正な労務費を確保しなければなりません。
そして、そのためには、
「なぜ、この金額なのか」
を説明できる会社になる必要があります。
9月以降、建設Gメンや価格転嫁をめぐる動きは、静岡県の中小建設会社にとっても決して他人事ではありません。
「うちは小さい会社だから関係ない」
「今まで何も言われなかったから大丈夫」
ではなく、
今のうちに、自社の見積・労務費・価格交渉の仕組みを一度チェックしておく。
これが、会社を守るための一番現実的な備えです。
そして何より、
「適正な労務費を確保すること」は、社員の生活を守り、会社を守り、建設業の未来を守ることにつながります。
9月をきっかけに、一度、自社の見積書を開いてみてください。
その数字に、
「なぜこの金額なのか?」
と聞かれたとき、社長自身が自信を持って説明できるでしょうか。
もし答えに少しでも不安があるなら、それが今、見直すべきポイントかもしれません。
「また人が辞めた…」と悩んでいる建設会社の社長様へ。
求人を出しても人が来ない。
せっかく採用しても、すぐ辞めてしまう。
現場の空気が悪く、若手が定着しない。
結局、足りないところは社長自身が現場に入って埋めている。
――そんな状態になっていませんか?
実は、人手不足の原因は「求人の出し方」だけではありません。
「給料がどう決まっているのか分からない」
「頑張っても評価されない」
「ベテランと若手の給料の差に納得できない」
こうした給与や評価の仕組みが、社員の不満や離職につながっていることがあります。
だからこそ、
「人を採る」だけではなく、「人が辞めない会社」に変えること。
これが、これからの建設会社には必要です。
まずは、自社の「給与と評価」を見直してみませんか?
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「うちの給与は、このままでいいのか?」
「若手とベテランの給料の決め方は適切か?」
「頑張っている社員を、ちゃんと評価できているか?」
そんな疑問を、一度整理してみてください。
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秘密厳守。
交通誘導警備の現場経験があり、社会保険労務士でもあるからこそ、机上の理論ではなく、「現場で本当に使える方法」を一緒に考えます。
「人が来ない」と嘆く前に、
「人が辞めない仕組み」になっているか。
まずは診断シートで、自社の現状をチェックしてみてください。
