BCPがあったから選ばれた ―― 仮設足場工事業で実際に起きている“明暗を分けた事例”

「BCPは必要だとは思うが、
本当に仕事に影響するのか分からない」

これは、多くの仮設足場工事業の経営者が
一度は感じたことのある疑問ではないでしょうか。

結論から言えば、
BCPがあるかどうかは、
“平常時”よりも“非常時”に、
はっきりと差になって表れます。

本記事では、
実際に業界で起きている事例をもとに、
BCPがあったことで選ばれた仮設足場業者のケースを紹介しながら、
なぜBCPが評価につながるのかを解説します。


なぜ今、仮設足場業者のBCPが見られているのか

建設業界では、
地震・台風・豪雨といった自然災害の頻発により、
「災害時に協力会社がどう動くか」が
以前にも増して重要視されています。

特に仮設足場工事業は、

  • 高所作業・重量物を扱う
  • 足場倒壊・部材落下による第三者災害リスクが高い
  • 工程全体を左右する重要工種

という特性があり、
一社の判断ミスが現場全体のリスクになる業種です。

そのため元請は、
「価格」や「普段の付き合い」だけでなく、
非常時の対応力を基準に
協力会社を見極めるようになっています。


事例① 台風接近時、「BCPを出せる会社」に仕事が集中した

ある地方都市で、
大型台風の直撃が予想された際の事例です。

元請は複数の足場業者に対し、
「台風時の対応はどうなっていますか?」
と確認しました。

BCPを整備していた会社は、
BCPの要約1枚を即日提出し、

  • 強風時の養生撤去基準
  • 作業停止の判断
  • 元請への連絡体制

を明確に説明しました。

一方、BCPがなかった会社は、
「状況を見て対応する」という
口頭説明のみでした。

結果として、
BCPを提示できた会社は全現場で継続起用され、
そうでない会社は一部現場から外されました。

元請の本音は、
「BCPの完成度より、
説明できるかどうかだった」と言います。


事例② 地震後、最初に連絡が来た会社が残った

早朝に震度5強の地震が発生した際、
元請は複数現場の安否確認と
第三者災害防止で混乱していました。

BCPを持つ会社は、
発災後20分以内に、

  • 作業停止
  • 全作業員の安否確認
  • 現場異常の有無

を簡潔に報告しました。

BCPがなかった会社からの連絡は、
2時間以上経ってからでした。

被害の有無自体は大差なかったものの、
元請が感じた「安心感」は大きく異なり、
連絡が早かった会社は復旧工事の優先業者として選ばれました。


事例③ 協力会社再編で「BCPがある会社だけ」が残った

ある中堅ゼネコンでは、
協力会社の再編にあたり
「BCPまたは災害対応計画の提出」を条件にしました。

提出されたBCPの多くは
簡易的なものでしたが、
仮設足場業ならではのリスクが
きちんと書かれている会社は高く評価されました。

一方、
「今後作成予定」と回答した会社は、
更新見送りとなり取引終了となりました。

元請は
「内容の完璧さではなく、
会社として考えているかを見た」と語っています。


事例④ 災害復旧工事で、真っ先に声がかかった

豪雨災害後の公共施設復旧工事では、
「すぐ動ける足場業者」が求められました。

BCPに
「災害復旧時の優先対応体制」
「人員・資材の確保方法」
を明記していた会社は、
元請から真っ先に声がかかりました。

結果としてその会社は
緊急復旧案件を一括受注し、
以降も公共系工事の
常用協力会社として起用されています。


事例⑤ 単価交渉でBCPが効いたケース

BCPは、
災害時だけでなく平常時の交渉でも力を発揮します。

ある足場業者は、
単価見直しの場でBCPを提示し、

  • 災害時対応
  • 現場停止リスク低減
  • 安全管理体制

を説明しました。

結果、
値下げを回避し条件据え置きとなり、
BCPを持たない会社のみが減額対象となりました。


事例から見える共通点

BCPがある会社が選ばれた理由は、
決して「分厚い資料」や
「難しい表現」ではありません。

共通しているのは、

  • すぐに出せる
  • 行動が具体的
  • 連絡が早い
  • 勝手に動かない

という点です。

BCPは、
非常時に元請が安心できる“説明書”
とも言えます。


まとめ:BCPは“選ばれる会社”になるための条件

仮設足場工事業において、
BCPがある会社とない会社の違いは、

「何も起きなければ同じ」
「何か起きた瞬間に、別の会社になる」

という点に集約されます。

BCPは、
事故や災害を完全に防ぐ魔法ではありません。
しかし、

  • 信頼を守り
  • 仕事を失わず
  • 次の仕事につなげる

ための、
極めて現実的な武器です。

「いつか作ろう」ではなく、
「今、最低限整える」ことが、
将来の選ばれ方を大きく左右します。