解体工事業こそBCPが必要な理由とは?「事業継続力強化計画」認定で攻めの経営を実現する

1. なぜ今、解体工事業にBCPが求められているのか

① 地域の「守り手」としての社会的責任

大規模災害が発生した際、倒壊した建物の撤去や、道路を塞ぐがれきの片付けができなければ、救急車も消防車も通れません。復興への第一歩は「がれきの撤去」から始まります。

解体業者が重機を動かし、人員を確保できる体制を整えていることは、地域の防災力を左右する死活問題なのです。

② 激甚化する自然災害への備え

解体現場は、常に崩落や資材飛散のリスクと隣り合わせです。台風や地震の際、施工中の現場をどう守り、近隣住民への二次被害を防ぐか。これをあらかじめ決めておくのがBCPの本質です。

③ 経営上の実利(経審加点と信頼)

現在、多くの自治体が公共工事の入札において、BCP策定企業を優遇しています。経営事項審査(経審)の加点対象となるケースも多く、受注競争力を高める強力な武器となります。


2. 初心者におすすめの「事業継続力強化計画(ジギョケイ)」とは?

「BCPは難しそう」という企業におすすめなのが、中小企業庁が策定を支援している**「事業継続力強化計画(通称:ジギョケイ)」**です。

これは、従来の複雑なBCPをスリム化し、中小企業が取り組みやすくした「簡易版BCP」のような制度です。国の認定を受けることで、以下のような具体的なメリットが得られます。

  • 税制優遇: 防災設備(自家発電機、重機の盗難防止装置など)の取得価格の16%を特別償却。
  • 補助金の優先採択: ものづくり補助金などの審査で加点。
  • 低利融資: 日本政策金融公庫による低利融資制度。
  • ロゴマークの使用: 名刺や会社案内で「国認定の防災企業」としてアピール可能。

3. 【実践】解体業向け・事業継続力強化計画の具体的な記述例

認定を受けるためには、オンライン申請システムに具体的な対策を入力する必要があります。解体業に特化した記述のポイントを整理しました。

A. 事業継続の目的

「発災直後、直ちに全従業員の安否を確認し、二次被害を防止する。その後、保有する重機と運搬車両を迅速に投入し、地域の道路啓開(がれき撤去)に協力することで、地域の早期復旧を支援する。」

B. 災害リスクの把握

まずは自社の事務所や重機置き場のハザードマップを確認しましょう。

「本社および第一資材置き場は、洪水浸水想定区域(0.5m〜1.0m)に該当するため、大雨予報時には重機を事前に高台の第二置き場へ移動させる。」

C. 発災時の初動対応

解体現場が複数ある状況を想定します。

「震度5弱以上の地震が発生した場合、全現場の作業を即座に中断。重機を安全な場所に停止させ、アームを接地させる。現場責任者は30分以内にLINEグループにて安否と現場状況を報告する。」

D. 経営資源(リソース)への対策

解体業の命である「重機・燃料・人」をどう守るかです。

  • 重機: 「転倒防止のため、旋回体ロックの徹底。予備の燃料(軽油)をドラム缶4本分常備する。」
  • 情報: 「顧客情報、図面、契約書はクラウドストレージに保管し、本社が被災してもスマホから閲覧可能にする。」
  • 連携: 「近隣の建機レンタル会社と緊急時の優先供給について協議を行う。」

4. 電子申請の手順と注意点(2026年最新版)

「事業継続力強化計画」の申請は、現在オンラインで完結します。

ステップ1:GビズIDプライムの取得

申請には、政府共通の認証ID「GビズIDプライム」が必要です。取得には印鑑証明書などが必要で、発行までに約2週間かかるため、真っ先に準備しましょう。

ステップ2:電子申請システムへの入力

「事業継続力強化計画 電子申請システム」にログインし、上記で作成した内容を入力します。

  • 必要書類: ハザードマップ(自社拠点の場所を印したもの)の添付が必須です。

ステップ3:審査と認定

申請から約45日で認定されます。認定されると、経済産業局から電子認定証が交付されます。


5. まとめ:BCPは「コスト」ではなく「投資」である

解体工事業におけるBCPは、単なる紙の計画書ではありません。それは、災害時に社員を守り、重機を守り、そして地域社会を助けるための**「経営の守護神」**です。

また、認定を受けることで得られる税制優遇や経審加点は、そのまま会社の利益に直結します。

「何から手をつければいいかわからない」という方は、まずは自社の事務所のハザードマップを見ることから始めてみてください。それが、強い解体会社への第一歩になります。