【静岡県中小建設業社長様】内装工とCCUSの関係とは?技能者のキャリアと将来を支える建設キャリアアップシステム

建設業界では、建物をつくるためにさまざまな職種の職人が働いています。その中でも、建物の完成時に私たちが直接目にする部分を仕上げる仕事が「内装工」です。壁や天井、床などをきれいに仕上げ、建物を快適に使える状態にするためには、内装工の高い技術が欠かせません。

一方、近年の建設業界では、職人の経験や技能を正しく評価し、働く人の待遇を改善していくことが重要な課題になっています。そこで注目されているのが、「CCUS(建設キャリアアップシステム)」です。

CCUSとは、Construction Career Up Systemの略で、建設業で働く技能者一人ひとりの資格や経験、現場で働いた実績などを登録し、技能者のキャリアを見えるようにする仕組みです。

内装工とCCUSは、一見すると別々のものに思えるかもしれません。しかし、実際には非常に深い関係があります。内装工がこれまで積み重ねてきた経験や資格を正しく記録し、その能力を客観的に評価してもらうために、CCUSは重要な役割を果たしています。

ここでは、内装工にとってCCUSがどのような意味を持つのか、対象となる職種、能力評価の仕組み、技能者や会社にとってのメリットについて分かりやすく説明します。

1.そもそも内装工とはどのような仕事なのか

内装工とは、建物の内部を仕上げる仕事をする職人のことです。

建物は、柱や梁などの構造部分が完成しただけでは、人が快適に生活したり仕事をしたりすることはできません。壁や天井を仕上げたり、床を張ったり、壁紙を貼ったりすることで、初めて「使える空間」になります。

内装工事には、さまざまな専門的な仕事があります。

例えば、建物の内部に軽量鉄骨を使って壁や天井の下地をつくる「軽鉄工(LGS)」、石こうボードなどを取り付ける「ボード張り工」、フローリングや床材を施工する「床張り工」、壁紙を貼る「クロス工」などがあります。

また、表具や経師など、昔から受け継がれてきた専門的な技術を使う職人も内装分野に含まれます。

このように、「内装工」と一言で言っても、実際にはさまざまな専門分野があります。

だからこそ、建設業界では「その人がどのような仕事をしてきたのか」「どのような資格を持っているのか」「どのくらいの経験があるのか」を正確に記録しておくことが大切になります。

そこで役立つのがCCUSです。

2.CCUSとは何か

CCUSは、建設業で働く技能者のキャリアを「見える化」するためのシステムです。

一般的な会社員であれば、履歴書や職務経歴書によって、これまでどのような仕事をしてきたのかを説明できます。しかし、建設業の職人の場合、現場を移動しながら働くことも多く、これまでの経験を一つの会社だけで管理することが難しい場合があります。

例えば、ある内装工が10年間建設現場で働いていたとしても、その経験を転職先の会社が正確に把握できなければ、「本当にどのくらいの技術を持っているのか」を判断することが難しくなります。

CCUSでは、技能者本人の情報に加えて、資格や講習の受講歴、現場で働いた実績などを登録することができます。

そして、現場でCCUSの就業履歴を蓄積することで、「この人はこれまでどのくらい建設現場で働いてきたのか」という経験を記録していくことができます。

つまりCCUSは、職人にとって「自分が積み重ねてきたキャリアをデータとして残す仕組み」と考えることができます。

3.内装工はCCUSの対象になるのか

もちろん、内装工もCCUSの対象となります。

CCUSでは建設業の職種が細かく分類されており、内装仕上工事に関係するさまざまな職種を登録することができます。

代表的なものとして、「内装工」「内装仕上工」「軽鉄工(LGS)」「ボード張り工」「床張り工」「フローリング工」「二重床工」「壁装(クロス)工」などがあります。

さらに、「表具師」「経師」なども内装分野に関係する職種です。

ここで重要なのは、自分が実際にどのような仕事をしているのかに合わせて、正しい職種を登録することです。

例えば、主にクロスを貼る仕事をしている人と、軽量鉄骨で壁や天井の下地をつくる人では、担当する作業が大きく異なります。

そのため、自分の仕事内容に合った職種や資格を正しく登録しておくことが、将来的に自分の能力を評価してもらうための基本になります。

4.CCUSの大きな特徴「レベル1~4」

CCUSには、技能者の能力や経験を「レベル1」から「レベル4」まで段階的に表す仕組みがあります。

これは、単純に「何年働いたか」だけで決まるものではありません。現場での経験に加えて、保有している資格や職長としての経験など、さまざまな条件をもとに能力を評価します。

レベル1は、CCUSに登録したばかりの技能者など、初期段階にあたります。

レベル2は、一定の経験や資格などを身につけた「一人前の技能者」の目安となる段階です。

レベル3になると、より高い技能や経験を持ち、職長や班長として現場をまとめる能力なども求められます。

そしてレベル4は、豊富な経験と高い技能を持つ、建設業界の中でも上位の技能者にあたります。

例えば、レベル4では、就業日数が2,150日以上、つまりおよそ10年以上の経験に加え、登録基幹技能者や1級建築施工管理技士などの上位資格、または卓越した技能者としての実績などが評価の要素になります。

レベル3では、就業日数1,075日以上、つまりおよそ5年以上の経験に加え、職長・班長として3年以上の経験や、1級技能士などの資格が要件の例として挙げられます。

レベル2では、就業日数645日以上、つまりおよそ3年以上の経験や、2級技能士などの資格が要件の例となります。

ただし、実際の能力評価には職種ごとに細かな基準があり、単純に「働いた年数だけ」でレベルが決まるわけではありません。

大切なのは、自分の経験や資格をCCUSに正しく登録し、その情報をもとに能力評価を受けることです。

5.内装工にとってCCUSを利用するメリット

では、CCUSを利用することで、内装工にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

一つ目は、「自分の技能を客観的に証明できる」ということです。

職人の仕事では、技術力が非常に重要です。しかし、技術は目に見えにくいため、他の人に伝えることが難しい場合があります。

例えば、「私は内装工として10年間働いてきました」と言っても、それだけでは具体的にどのような仕事ができるのか、どの資格を持っているのか、どの程度の経験があるのかまでは分かりません。

CCUSに資格や就業履歴などを登録しておけば、自分が積み重ねてきたキャリアを客観的な情報として示すことができます。

二つ目は、「転職や独立をするときにもキャリアを証明しやすくなる」という点です。

建設業では、働く会社が変わったり、一人親方として独立したりすることがあります。そのようなときでも、これまでの経験や資格が記録されていれば、自分のキャリアを説明する材料になります。

三つ目は、将来的な処遇改善につながる可能性があることです。

建設業界では、経験や技能を持っている人が、その能力に見合った評価や賃金を受けられる環境をつくることが重要になっています。

CCUSによって技能が見えるようになれば、会社側も技能者の経験や能力を把握しやすくなります。その結果、技能者の適正な評価や処遇改善につながることが期待されています。

6.内装施工会社にとってのメリット

CCUSは、働く職人だけでなく、内装施工会社にとってもメリットがあります。

例えば、会社がどのような技能者を抱えているのかを把握しやすくなります。

「この社員はどのような資格を持っているのか」「どの程度の現場経験があるのか」といった情報を整理することで、人材育成や現場への配置を考える際にも役立ちます。

また、CCUSの活用は、会社が技能者のキャリア形成や適正な労務管理に取り組んでいることを示す材料にもなります。

さらに、公共工事などに関係する経営事項審査、いわゆる「経審」では、CCUSの活用状況や技能者の評価が一定の加点要素となる場合があります。

そのため、CCUSは単なる「職人の登録システム」ではなく、会社の経営や人材育成にも関係する制度だといえます。

7.CCUSを利用するときの注意点

CCUSを利用する際には、いくつか注意しなければならないことがあります。

特に重要なのが、登録方法です。

単純に技能者としてCCUSに登録するだけではなく、能力評価を受けたい場合には、資格や職歴などの情報を詳しく登録しておく必要があります。

一般的に「詳細型登録」と呼ばれる登録方法では、保有資格などを詳しく登録します。

例えば、内装仕上げ施工技能士の1級・2級や、表装に関する技能士資格、建築施工管理技士などを持っている場合、それらを正しく登録しておくことが重要です。

せっかく資格を取得していても、CCUS上で正しく登録されていなければ、自分の能力を十分に評価してもらえない可能性があります。

また、現場で働いた実績を就業履歴として蓄積することも重要です。

資格を取得することだけがキャリアアップではありません。実際の現場でどのような仕事を経験してきたのかということも、技能者の成長を考えるうえで大切だからです。

8.これからの内装工にCCUSが重要になる理由

これからの建設業界では、デジタル化がさらに進んでいくと考えられます。

これまで建設業では、職人の経験や技能が「その人の頭の中」や「会社の記録」に頼って管理されることもありました。

しかし、少子高齢化による人手不足や、熟練技能者の高齢化が進む中で、若い人材を育て、技能を次の世代に引き継いでいくことが重要になっています。

そのためには、「どのような技能を持っているのか」「どのような経験を積んできたのか」を分かりやすく記録する必要があります。

CCUSは、そのための一つの重要な仕組みです。

特に内装工は、実際の施工技術が重要な仕事です。クロスをきれいに貼る技術、床を正確に仕上げる技術、軽量鉄骨やボードを正確に施工する技術などは、長い経験によって身につくものです。

その経験を「見える形」にすることは、技能者自身のキャリアを守ることにもつながります。

まとめ

内装工とCCUSは、これからの建設業界を考えるうえで非常に重要な関係にあります。

内装工事には、軽鉄、ボード、床、クロス、表具など、多くの専門分野があります。そして、それぞれの仕事で身につけた技能や経験を正しく記録し、評価してもらうことが、技能者のキャリア形成につながります。

CCUSでは、技能者の資格や就業履歴などを登録し、レベル1からレベル4までの能力評価につなげることができます。

これによって、自分がどのくらいの経験や技能を持っているのかを客観的に示しやすくなります。また、転職や独立の際にも、自分のこれまでのキャリアを説明するための材料になります。

会社にとっても、技能者の能力を把握し、人材育成や適正な配置を考えるうえでCCUSは役立ちます。さらに、公共工事などに関係する経営事項審査で、CCUSの活用や技能者の評価が加点要素となる場合もあります。

ただし、CCUSに登録するだけで自動的に高いレベルになるわけではありません。自分の仕事内容に合った職種を登録し、資格や職歴などの情報を正しく登録することが大切です。そして、現場で働いた実績を積み重ねていくことも必要です。

これから建設業界で働く人にとって、技術を身につけることはもちろん重要です。しかし、それと同じくらい、「自分が身につけた技術をどう証明するか」ということも重要になっていくでしょう。

内装工は、建物の最後の仕上げを担う大切な仕事です。CCUSを活用することで、その仕事に必要な技能や経験を記録し、自分自身のキャリアとして積み重ねていくことができます。

建設業界のデジタル化が進むこれからの時代、CCUSは単なる登録制度ではなく、技能者が自分の経験を「見える形」にして、将来のキャリアにつなげるための重要な仕組みの一つになっていくと考えられます。