【静岡県中小建設業社長様】ガラス工事店こそCCUSを活用したい理由
職人の技術を「見える化」して、適正な単価と給与を守る
建設業界では今、**CCUS(建設キャリアアップシステム)**の活用が少しずつ広がっています。
「CCUSという名前は聞いたことがある」
「元請けから登録してくれと言われた」
「大きな現場に入るためにカードを作った」
このようなガラス工事店やサッシ店の経営者の方も多いのではないでしょうか。
一方で、
「うちは町のガラス屋だから、CCUSなんて大手の話でしょ」
「登録しても仕事が増えるわけではない」
「そもそも、CCUSが何の役に立つのかよく分からない」
という声もあります。
しかし、これからの建設業界を考えると、ガラス工にとってCCUSは決して他人事ではありません。
むしろ、職人の技術を正しく評価してもらい、適正な労務費や施工単価を確保するための材料として、重要性が高まっていく可能性があります。
さらに重要なのが、CCUSの情報を会社の給与や評価制度につなげることです。
そのためには、単にCCUSへ登録するだけでは足りません。
場合によっては、就業規則や賃金規程、資格手当などの社内ルールを見直す必要があります。
ここでは、ガラス工事・サッシ施工とCCUSの関係について、経営者の目線から分かりやすく整理します。
そもそもCCUSとは何なのか?
CCUSは、建設業で働く技能者一人ひとりについて、
- どんな資格を持っているのか
- どれくらい現場で働いてきたのか
- どんな仕事を経験してきたのか
といった情報を登録し、職人のキャリアを見える化する仕組みです。
建設業では、これまで職人の能力を客観的に判断することが簡単ではありませんでした。
例えば、
「この職人は20年以上やっている」
「難しいガラス工事もできる」
「大型現場の経験が豊富」
と言われても、それを会社の外にいる人が簡単に確認する方法はありませんでした。
そこでCCUSでは、技能者の情報を登録し、現場での就業履歴などを蓄積していきます。
簡単に言えば、
「この職人は、これまで何をしてきた人なのか」をデータとして残していく仕組み
と考えると分かりやすいでしょう。
ガラス工にも「技能レベル」がある
ガラス工事は、誰でも簡単にできる仕事ではありません。
例えば、
- ペアガラス
- 防火設備に関係するガラス
- 合わせガラス
- 大型ガラス
- 重量のあるガラス
- 特殊な形状のガラス
など、現場によってさまざまな種類があります。
ガラスが大きくなれば、搬入や持ち運びにも危険が伴います。
取り付ける場所によっては、高所作業になることもあります。
少しの施工ミスが、ガラスの破損や建物への損傷につながることもあります。
つまり、ガラス工事には、
経験、知識、安全管理、施工技術
が必要です。
CCUSでは、こうした技能者の経験や資格などを登録し、技能レベルを段階的に評価していく仕組みがあります。
また、ガラス工に関係する資格としては、ガラス施工技能士などがあります。
資格だけですべての技術力が決まるわけではありません。
しかし、
資格+現場経験+就業履歴
という情報が積み上がっていけば、その職人がどのようなキャリアを歩んできたのかを、以前より客観的に説明しやすくなります。
なぜガラス工事店がCCUSに取り組むのか?
CCUSに取り組む理由は、単に「元請けから言われたから」だけではありません。
特に重要なのが、次の3つです。
1.大きな現場で仕事を続けるため
ビルやマンション、公共工事、大規模な改修工事などでは、元請会社が現場に入る会社や技能者について、さまざまな情報を管理することがあります。
その中でCCUSへの登録やカードの利用を求められるケースもあります。
これから元請会社の施工体制管理が進んでいけば、
「どこの会社の職人なのか」
「どんな資格を持っているのか」
「どれくらい現場経験があるのか」
といった情報を確認することが、今まで以上に重要になるでしょう。
CCUSは、大きな現場で仕事をするためのインフラの一つになっていく可能性があります。
2.職人の価値を「価格」に反映させるため
ここが、ガラス工事店の経営者にとって特に重要なポイントです。
建設業界では、
「とにかく安くしてほしい」
「他の業者はもっと安い」
「ガラス・サッシ一式でこの金額でお願いしたい」
といった価格交渉が行われることがあります。
もちろん、仕事を受注するためには競争も必要です。
しかし問題なのは、職人の技術や経験まで一律の金額で扱われてしまうことです。
経験の浅い職人と、20年以上の経験があり、難しい大型ガラスや特殊な施工にも対応できる職人を、同じ「ガラス工」として扱えば、経験や技能が価格に反映されません。
会社として、
「資格を持った職人がいる」
「難しい施工にも対応できる」
「経験豊富な職人が施工する」
という強みを、客観的な情報で説明することが大切になります。
その材料の一つになるのがCCUSです。
CCUSのレベルが、そのまま施工単価を決めるわけではありません。
しかし、職人の経験や資格を「見える化」することで、
「なぜこの金額が必要なのか」
を説明しやすくなります。
3.「技術を磨けば給料が上がる」会社を作る
そして、もう一つ大きなメリットがあります。
それは、若い職人を育てる仕組みづくりです。
例えば、
- CCUSのレベル
- 保有資格
- 現場経験
- ガラス施工の技術
- 安全への意識
- 仕上がりの品質
- 現場での対応力
- 後輩への指導力
などを組み合わせて、会社独自の評価制度を作ることができます。
そうすれば、
「資格を取った」
「難しい仕事ができるようになった」
「現場経験を積んだ」
「後輩を指導できるようになった」
という成長を、会社として評価しやすくなります。
ここで大切なのが、「評価する」と言うだけで終わらせないことです。
評価を給与に反映させるのであれば、
「どの資格を取得したら資格手当を支給するのか」
「どのような技能を身につけたら昇給するのか」
「職長などの役割を担った場合、どのように処遇するのか」
といったルールを明確にする必要があります。
CCUSを給与につなげるなら、社労士の力が必要になる
ここは、経営者の方にぜひ知っておいていただきたいポイントです。
CCUSを会社の評価制度に活用する場合、
CCUSを登録することと、会社の労務管理を整えることは別の問題
です。
例えば、
「CCUSレベルが上がったら給与を上げる」
「ガラス施工技能士の資格を取ったら資格手当を出す」
「一定の技能を身につけたら基本給を上げる」
という制度を作るとします。
この場合、単に社長が口頭で、
「資格を取ったら給料を上げるよ」
と決めるだけでは十分ではありません。
会社として正式な制度にするのであれば、就業規則や賃金規程などとの整合性を確認する必要があります。
特に従業員が複数いる会社では、
「Aさんには資格手当を出すけれど、Bさんには出さない」
「去年から制度を変えたけれど、従業員には十分説明していない」
といったことが起こると、後からトラブルになる可能性があります。
そこで重要になるのが、社会保険労務士(社労士)です。
社労士は、会社の労働関係のルールや就業規則、賃金制度などについて専門的にサポートしてくれます。
CCUSを活用して、
技能 → 評価 → 給与
という仕組みを作りたいのであれば、建設業の制度だけを見るのではなく、労務管理まで一緒に考えることが重要です。
就業規則を「会社の成長ルール」にする
就業規則というと、
「法律で決められているから作るもの」
というイメージを持っている経営者もいるかもしれません。
しかし、就業規則は会社を守るだけのものではありません。
会社の「これからの働き方」を示すルールとして使うこともできます。
例えば、
「資格取得を会社として支援する」
「資格取得者を一定の基準で評価する」
「技能レベルや役職などを考慮して処遇を決める」
「職長など責任ある仕事を担当する人を適切に評価する」
といった考え方を、会社の制度として整理していくことができます。
もちろん、具体的な内容は会社の規模や雇用形態、現在の給与制度によって変わります。
だからこそ、社労士などの専門家と相談しながら、自社に合った制度を作ることが大切です。
CCUSだけでは会社は変わらない
ここは非常に重要です。
CCUSに登録したからといって、自動的に職人の給料が上がるわけではありません。
カードを持ったからといって、会社の利益が増えるわけでもありません。
大切なのは、その情報を会社経営にどう使うかです。
例えば、
CCUSで職人の経験・資格を見える化する
↓
社内の評価基準を作る
↓
就業規則・賃金規程などを整える
↓
技能や資格を給与・手当に反映する
↓
職人の成長を会社の施工力につなげる
という流れです。
この仕組みができれば、
「技術を身につける」
「資格を取る」
「難しい仕事に挑戦する」
「後輩を育てる」
という行動が、会社の中で評価されやすくなります。
結果として、若い職人にとっても、
「この会社で技術を身につければ、自分の給料や将来につながる」
という分かりやすい道筋を作ることができます。
「町のガラス屋だから関係ない」は本当か?
「うちは小さい会社だからCCUSは関係ない」
「大手ゼネコンの仕事はほとんどない」
「昔からの取引先があるから大丈夫」
という考え方もあるでしょう。
すべての会社が同じスピードでCCUSを活用しなければならないわけではありません。
しかし、建設業界では、職人の資格や経験をデータで管理する流れが進んでいます。
また、職人不足が続く中で、技術のある人をどう採用し、どう育て、どう定着させるのかは、会社経営そのものに関わる問題です。
そう考えると、
「うちの職人は何ができるのか」
「どんな資格を持っているのか」
「どれくらい経験があるのか」
「その技術を給与にどう反映するのか」
という情報を整理しておくことには大きな意味があります。
経営者が今から確認しておきたい7つのこと
最後に、ガラス工事店やサッシ店の経営者が確認しておきたいポイントをまとめます。
① 職人がCCUSに登録されているか
誰が登録していて、誰が未登録なのかを整理しましょう。
② 保有資格が正しく登録されているか
資格証などを確認し、情報を整理しましょう。
③ 就業履歴がきちんと残っているか
登録だけで終わらせず、就業履歴を積み上げることが重要です。
④ 職人の技能をどう評価するか
資格、経験、施工技術、安全意識など、自社の評価基準を考えましょう。
⑤ 給与や手当とどう結びつけるか
資格手当や技能手当、役職手当などについて検討しましょう。
⑥ 就業規則や賃金規程を確認する
給与や手当の制度を変更する場合は、現在の就業規則や賃金規程との整合性を確認しましょう。
必要に応じて、社会保険労務士に相談しながら制度を整えることが重要です。
⑦ 見積りや価格交渉にも活用する
職人の資格・経験・技能を、会社の施工力として元請会社に説明できるようにしましょう。
まとめ
CCUSは、単に元請会社から求められる「登録制度」と考えると、面倒に感じるかもしれません。
しかし、見方を変えると、CCUSは職人の技術を見える化するための仕組みです。
特にガラス工事は、経験や技術、安全への配慮が非常に重要な仕事です。
それなのに、見積書では「ガラス工事一式」とまとめられ、職人の経験や資格が価格に反映されなければ、会社としても職人としても苦しくなります。
だからこそ、
「誰が、どんな資格を持ち、どれだけ経験しているのか」
を客観的に整理しておくことが重要になります。
そして、その情報を、
職人の評価
↓
給与・手当
↓
会社の施工力
↓
見積り
↓
元請との価格交渉
につなげていく。
ここまでできて、初めてCCUSを「会社経営に活用している」と言えるのではないでしょうか。
そして、もう一つ忘れてはいけないのが、労務管理の専門家との連携です。
CCUSのレベルや資格を給与に反映させるのであれば、就業規則や賃金規程などの社内ルールとの整合性を確認しなければなりません。
「資格を取ったら給料を上げる」
「技能が上がったら手当を付ける」
という制度を作るのであれば、会社として正式なルールに落とし込むことが大切です。
その部分については、社会保険労務士に相談し、就業規則や賃金制度まで含めて整備することが重要です。
CCUSだけを導入するのではなく、
CCUS × 社内評価制度 × 就業規則 × 賃金制度 × 見積り
まで一つにつなげる。
ここまで取り組むことで、職人の技術を正しく評価し、会社の施工力を高め、適正な利益を確保するための仕組みが見えてきます。
職人の技術には、本来きちんと価値があります。
その価値を「社長の感覚」だけで判断するのではなく、資格、経験、就業履歴などの客観的な情報で整理する。
そして、その技術を給与や会社の価格に反映していく。
これからのガラス工事店にとって、CCUSは単なる「現場に入るためのカード」ではありません。
職人を育て、会社を守り、適正な価格で仕事をするための経営ツールの一つ。
そう考えて、一度、自社のCCUS・評価制度・就業規則・賃金制度をまとめて見直してみてはいかがでしょうか。
