【静岡県・中小建設業社長様】防水工の技術をどう評価する?CCUS×24段階等級制度で「腕」と「努力」を給与につなげる
建物にとって「水」は、とても怖い存在です。
雨が建物の中に入り込めば、雨漏りが起こります。さらに、長期間にわたって水が入り続けると、仕上げ材だけでなく建物内部まで傷み、修繕費用が大きくなることもあります。
その水から建物を守るのが、防水工の仕事です。
防水工事には、ウレタン防水、アスファルト防水、シート防水、FRP防水など、さまざまな工法があります。しかし、どの工法にも共通するのは、「少しのミスが大きな問題につながる」ということです。
下地の処理が不十分だったり、材料の使い方を間違えたり、必要な膜厚や乾燥時間を守らなかったりすると、完成した直後には問題が分からなくても、後になって雨漏りが発生することがあります。
だからこそ、防水工は単に材料を塗ったり貼ったりする仕事ではありません。建物の寿命や会社の信用を支える、専門性の高い仕事です。
では、そんな防水工の技術を、会社はどのように評価すればよいのでしょうか。
その一つの答えが、CCUSと24段階の等級賃金制度です。
防水工は「見えないところ」で建物を守る
防水工事の難しさは、仕事の成果が普段は見えにくいことです。
きちんと施工された防水は、雨が降っても問題を起こしません。そのため、利用する人からは「防水工事があるから安心できる」ということを意識されにくいでしょう。
一方で、施工に問題があれば、「雨漏り」という形で一気に問題が表面化します。
つまり、防水工にとって大切なのは、「作業を終わらせること」ではなく、「施工後も問題が起こらない状態をつくること」です。
このため、防水工の評価では、作業の速さだけを見るのでは不十分です。
下地をどれだけ丁寧に処理したか。材料を正しく扱ったか。天候や湿度に合わせて施工できたか。安全を守ったか。周囲の人に配慮できたか。
こうした細かな積み重ねこそ、防水工の本当の技術です。
CCUSで防水工のキャリアを見える化する
そこで活用したいのが、CCUS、建設キャリアアップシステムです。
CCUSを活用すると、技能者が持っている資格や、現場で積んできた就業履歴などをキャリアとして整理しやすくなります。
防水工なら、防水施工技能士1級・2級などの資格や、これまでの現場経験を、自分自身のキャリアの土台として考えることができます。
建設業では、これまで「この人は長く現場にいるからベテランだ」「昔からこの仕事をしているから腕がいい」というような評価が行われることもありました。
もちろん、長年の経験は非常に大切です。
しかし、10年働いていることと、10年間でどのような技術を身につけたのかは、同じではありません。
指示された作業だけを続けてきた人と、現場の状況を見て自分で判断し、後輩を指導し、品質まで確認できる人では、会社の中で果たせる役割が違います。
だからこそ、CCUSによるキャリアの見える化を土台にして、会社独自の評価制度を組み合わせることに意味があります。
「資格手当」と「CCUS手当」は分けて考える
防水工事会社が24段階の等級賃金制度をつくるとき、まず整理したいのが、「資格手当」と「CCUS手当」の違いです。
この二つは似ているようですが、評価するものが違います。
資格手当は、「何の資格を持っているか」を評価するものです。
一方、CCUS手当は、「積み重ねた経験を、今の現場でどのように活かしているか」を評価するものです。
この二つを分けることで、社員にも分かりやすい給与制度になります。
資格手当は「保有する専門性」への報酬
防水工の場合、防水施工技能士1級・2級などの専門資格があります。
さらに、仕事の内容に応じて、有機溶剤作業主任者、職長・安全衛生責任者に関する教育、その他の必要な資格や特別教育なども重要になります。
会社として必要な資格を明確にし、それを取得した社員に定額の資格手当を支給する形にします。
たとえば、「防水施工技能士2級なら月○円」「1級なら月○円」というように、基準を明確にします。
資格手当は、基本的に「保有していること」に対する固定的な評価です。
CCUS手当は「現場での実力」を評価する
これに対してCCUS手当は、変化する評価です。
CCUSレベル1〜4を土台にして、会社独自の6段階評価を組み合わせます。
たとえば、社内評価をS、A+、A、B、C+、Cの6段階とします。
すると、4段階×6段階で、全部で24段階の等級ができます。
この仕組みの良いところは、経験年数だけで給与を決めなくてよいことです。
たとえば、CCUSレベル2の社員でも、施工品質が高く、安全意識が強く、段取りも上手で、周囲への配慮までできていれば、A+やSを目指せます。
逆に、経験や資格が十分にあっても、品質管理を怠ったり、安全ルールを守らなかったりする場合は、評価を見直すことができます。
これにより、「年数が長い人が必ず高評価」という制度から脱却できます。
防水工の評価は「品質」を最重要にする
防水工の評価で、まず重視したいのが「成果・品質」です。
具体的には、下地処理が丁寧にできているか、ケレンや清掃に手抜きがないか、プライマーを適切に施工しているか、指定された膜厚や乾燥時間を守っているかなどを確認します。
また、施工後に膨れ、剥離、硬化不良などの問題が起きていないかも重要です。
ここで大切なのは、「早く終われば高評価」にはしないことです。
防水工事では、急いだ結果、手直しが増えれば、かえって会社の負担が大きくなります。
一度で正しく施工すること、つまり「手戻りを減らす力」は、会社の利益にも直結します。
そのため、「丁寧な仕事をして、最初から高い品質で仕上げる人」を高く評価する仕組みが必要です。
天候への対応力も、防水工の重要な技術
防水工事には、ほかの職種と違った難しさがあります。
それが天候です。
雨が降れば工事を進めにくくなりますし、気温や湿度によって材料の乾燥や硬化にも影響が出ます。
下地の状態によっては、予定していた工程を変更しなければならないこともあります。
つまり、防水工は「決められた作業を繰り返す人」ではなく、「その日の条件を見て判断できる人」である必要があります。
たとえば、
「今日はどこまで進めるべきか」
「この状態で施工して問題ないか」
「天候が変わりそうだから、先に何を準備しておくか」
といったことを考えられる人です。
さらに、次の日の材料や工程まで考えて準備できれば、現場全体を止めずに進めることができます。
こうした段取り力や対応力も、24段階制度でしっかり評価すべき能力です。
安全と周囲への配慮も評価する
防水工事では、安全に対する意識も非常に重要です。
作業内容によっては、有機溶剤などを扱う場合があります。その場合には、決められた保護具を使用し、安全ルールを守る必要があります。
火気を使用する工法では、火災防止も欠かせません。
さらに、改修工事では、建物を利用しながら工事を進めることがあります。
マンションなら住民、店舗ならお客様やスタッフ、事務所ならそこで働く人がいます。
そのような現場では、挨拶をする、通行する人に注意する、材料や工具を整理する、作業後に清掃するなど、周囲への配慮が必要です。
これは単なるマナーではありません。
会社の信用を守るための仕事です。
だからこそ、「安全に作業できる人」だけでなく、「周囲に安心感を与えられる人」も高く評価することが大切です。
24段階制度は若手育成にも役立つ
この制度を導入する大きなメリットの一つが、若手社員の育成です。
建設業では、「長く働けば、そのうち評価される」という考え方が残っていることがあります。
しかし若い社員からすると、
「何を覚えれば給料が上がるのか」
「どの資格を取ればよいのか」
「何ができれば一人前なのか」
が分からないと、将来が見えにくくなります。
そこで24段階の等級制度を使います。
最初は安全ルールを覚える。
次に、清掃や材料管理を自分でできるようになる。
その後、下地処理を任される。
さらに、施工品質を自分で確認できるようになる。
そして、後輩を指導し、最終的には現場全体の段取りまで考えられるようになる。
このような成長の道筋を、給与制度と結びつけます。
経験が浅くても、毎日の仕事を丁寧に行い、安全や品質で高い評価を取れば、次の等級を目指せる。
この「頑張った分だけ、次に進める」という感覚が、若手の成長意欲を支えます。
ベテランにも「今の仕事ぶり」を求める
一方で、ベテランだから自動的に最高評価、という制度にも注意が必要です。
長年の経験は、会社にとって大切な財産です。
しかし、その経験があるからといって、安全ルールを守らなくてよいわけではありません。
品質確認を怠る、周囲への配慮がない、後輩の指導をしない、といった行動があれば、評価に反映させる必要があります。
反対に、自分の技術を若手へ伝え、施工品質を守り、現場全体を安定させているベテランには、しっかりと高い評価を与える。
こうしたメリハリがあることで、世代を超えて「良い仕事とは何か」を共有できます。
一律昇給ではなく「成長に応じた給与」へ
経営者にとって、給与制度は利益とのバランスが重要です。
全社員を毎年一律に昇給させる方法は分かりやすい反面、会社の売上や利益が同じペースで伸びなければ、人件費の負担が大きくなります。
そこで、
資格を取得した人には資格手当を支給する。
経験を積み、キャリアが進めば次の等級へ進む。
現場で高い品質、安全、対応力を発揮した人にはCCUS手当を増やす。
という考え方にします。
社員の努力を認めながら、会社としても人件費を管理しやすくなります。
「全員に同じだけ上げる」のではなく、「成長した人、価値を生み出した人に報いる」という考え方です。
給与の理由を、社員に説明できる会社へ
給与制度で最も大切なのは、金額だけではありません。
社員が「なぜ自分はこの評価なのか」を理解できることです。
たとえば、
「防水施工技能士を持っているので資格手当が付いています」
「CCUSレベル2で、今期の品質評価がA+、安全評価もAなので、この等級です」
と説明できれば、給与の根拠が分かります。
さらに、
「次は防水施工技能士1級を目指そう」
「次の等級へ進むには、後輩指導までできるようになろう」
と、今後の目標も示せます。
これによって、給与制度が単なる「お金のルール」ではなく、「成長の地図」になります。
防水工を育てることは、会社を守ること
防水工事は、建物を雨や水から守る仕事です。
その仕事を支える職人の技術も、会社にとって大きな財産です。
だからこそ、「何年働いたか」だけではなく、
資格を持っているか。
どれだけ経験を積んでいるか。
施工品質が高いか。
天候や現場条件に対応できるか。
安全を守れるか。
周囲に配慮できるか。
後輩を育てられるか。
こうした複数の視点から評価する必要があります。
CCUSをキャリアの土台として活用し、会社独自の6段階評価を組み合わせれば、24段階の等級制度をつくることができます。
そして、
資格手当=保有している資格・専門性への評価
CCUS手当=経験を土台にした、日々の現場力への評価
と役割を明確にすれば、社員にも分かりやすい給与制度になります。
まとめ
防水工は、建物を雨や水から守る「守りの専門職」です。
その仕事には、下地処理、材料管理、膜厚、乾燥時間、天候への対応、安全、周囲への配慮など、たくさんの技術が必要です。
だからこそ、評価も「経験年数」だけで決めるのではなく、職人が身につけた技術と、毎日の仕事ぶりを分けて考えることが重要です。
資格手当で「保有する専門性」を評価する。
CCUSでキャリアを見える化する。
そして24段階の等級制度で、「品質・対応力・安全・姿勢」を毎日の仕事として評価する。
この仕組みがあれば、若手には「何を頑張ればよいのか」が見え、中堅には「次に何を身につけるか」が分かり、ベテランには「これまでの経験をどう会社へ返していくか」が明確になります。
さらに会社にとっても、一律昇給だけに頼らず、「会社にとって価値のある成長」に対して適切に賃金を配分しやすくなります。
防水工事は、建物を雨から守る仕事です。
そして、防水工を守るのは、会社の「正しく評価する仕組み」です。
「資格を取れば一歩前へ」
「経験を積めば一歩前へ」
「品質と安全を積み重ねれば、さらに一歩前へ」
そんな成長の道筋を給与制度として見えるようにすることが、防水工の技術を未来につなぎ、若手を育て、会社の信用と利益を守ることにつながっていくのではないでしょうか。
