【静岡県・中小建設業社長様】タイル工の給与をどう決める?
経営者が知っておきたい「CCUS×24段階評価制度」の作り方
「若い職人を採用しても、なかなか定着しない」
「ベテランと若手の給与を、どうやって決めればいいのか分からない」
「最低賃金が上がるたびに、給与を見直すのが大変だ」
「職人の技術を、社長の感覚だけで評価していていいのだろうか」
建設業の経営者から、このような悩みを聞くことがあります。
特にタイル工のような専門性の高い仕事では、職人一人ひとりの技術力に大きな差があります。
同じ「タイル工」という仕事でも、見習いと一人前の職人では、できる仕事も責任もまったく違います。
さらに、ベテラン職人になると、単にタイルを張るだけではありません。
現場の状況を見て段取りを考え、難しい納まりにも対応し、後輩を指導し、現場全体の品質を守る。
こうした能力は、会社にとって非常に大きな価値があります。
ところが、その価値を給与に反映する仕組みがなければ、評価はどうしても「社長の感覚」や「これまでの慣例」に頼ることになります。
ここに、建設業の人事制度が抱える大きな問題があります。
これからのタイル工事会社に必要なのは、単純な「年功序列」でも「一律昇給」でもありません。
職人の経験・資格・技術・役割を見える化し、それを給与と結びつける仕組みです。
その土台として活用できるのがCCUS(建設キャリアアップシステム)です。
さらに、CCUSの4段階に会社独自の6段階評価を組み合わせれば、24段階の評価制度を作ることができます。
今回は、タイル工事会社の経営者が「採用」「定着」「人件費」「利益」「労務管理」という経営上の視点から、この制度をどのように考えればよいのかを解説します。
1.「腕がいいから給料を上げる」だけでは限界がある
職人の世界では、「腕がいい」「仕事が早い」「現場を任せられる」といった評価が非常に重要です。
しかし、経営者が一人ひとりの職人を見て、
「この人はよく頑張っているから給料を上げよう」
「この人はベテランだから少し上げよう」
と判断するだけでは、会社が大きくなるほど問題が出てきます。
なぜなら、評価の基準が明確ではないからです。
社員からすると、
「なぜ自分はこの給与なのか?」
「何をすれば昇給するのか?」
「同期の社員と比べて、自分はどの程度の評価なのか?」
が分かりません。
経営者としても、
「この社員の給与をどこまで上げるべきなのか」
「ベテランだから高い給与を払い続けるべきなのか」
「若手が成長したとき、どのタイミングで給与を上げるのか」
という判断に悩むことになります。
つまり、会社が成長していくほど、「人を評価する仕組み」そのものが経営課題になるのです。
2.CCUSを「職人のキャリアの土台」にする
そこで活用したいのがCCUSです。
CCUSは、建設業で働く技能者の経験や資格などを蓄積し、能力を見える化するための仕組みです。
タイル工についても、就業日数、保有資格、職長経験など、技能者としてのキャリアを段階的に整理する考え方があります。
大きくはレベル1からレベル4までの4段階です。
例えば、
レベル1:これから技能を身につけていく段階
↓
レベル2:一定の経験を積み、基本的な仕事を任せられる段階
↓
レベル3:より高度な技術や経験を持ち、責任ある仕事を任せられる段階
↓
レベル4:高度な技能と豊富な経験を持つ熟練技能者の段階
というように、職人のキャリアを整理することができます。
ここで経営者にとって重要なのは、CCUSを単なる「登録制度」として終わらせないことです。
会社の人事制度の土台として活用するという発想が重要です。
3.CCUSだけでは「社内での働き方」までは評価できない
ただし、CCUSの4段階だけで給与を決めるのも十分ではありません。
なぜなら、会社が社員に求める能力は、資格や経験だけではないからです。
例えば、同じレベルの職人でも、
- 施工の仕上がりが非常にきれい
- 作業スピードが速い
- 段取りが上手
- 現場の安全意識が高い
- 後輩を育てることができる
- 他の職種と円滑に仕事ができる
- トラブルが起きたときに対応できる
など、それぞれ得意な分野が違います。
そこで、CCUSの「4段階」に会社独自の「6段階」を組み合わせます。
これが、24段階評価制度という考え方です。
4.「4段階×6段階=24段階」で職人の成長を見える化する
例えば、会社独自の6段階評価を次のように設定します。
①施工品質
タイルの割付け、目地の通り、仕上がりの美しさ、施工ミスの少なさなどを評価します。
タイル工事では、数ミリの違いが完成後の見た目を大きく左右します。
そのため、品質は重要な評価項目です。
②作業効率・段取り
決められた工期の中で、効率よく仕事を進められるかを評価します。
単純に「作業が速い」だけではありません。
次の工程を考えて準備できるか、材料を無駄なく使えるか、現場全体の進み具合を把握できるか、といった能力も含まれます。
③安全・現場管理
安全ルールを守っているか、整理整頓ができているか、周囲への配慮ができているかなどを評価します。
④後輩育成
新人や若手に技術を教えられるかどうかも重要です。
ベテラン職人が持っている技術を次の世代に引き継ぐことは、会社の将来に直結します。
⑤コミュニケーション
現場監督や他職種の職人などと適切に連携できるかを評価します。
⑥責任感・問題対応力
問題が発生したときに、放置したり隠したりするのではなく、報告・相談を行い、適切に対応できるかを評価します。
このような6つの評価軸を設定し、CCUSの4段階と組み合わせます。
すると、
4段階 × 6段階 = 24段階
という、会社独自の等級制度を作ることができます。
5.経営者にとって一番重要なのは「評価」ではなく「給与との連動」
ここが制度づくりで最も重要なポイントです。
評価制度を作ること自体が目的になってはいけません。
経営者にとって大切なのは、
「その評価を、どう給与に反映させるのか」
ということです。
例えば、24段階の等級ごとに給与レンジを設定します。
「この等級なら基本給はこの範囲」
「この資格を取得したら資格手当」
「この役割を任せられるようになったら上位等級」
というように、給与の決まり方を明確にします。
もちろん、具体的な給与額は会社の利益や地域の賃金水準などを踏まえて設計する必要があります。
重要なのは、社員が、
「何ができるようになれば、次の給与水準に上がれるのか」
を理解できることです。
これは採用にも効果があります。
求人を出すときに、
「未経験者歓迎」
「経験者優遇」
だけでは、応募者から見れば、その会社で将来どこまで成長できるのか分かりません。
しかし、
「資格取得を支援します」
「技能レベルに応じた等級制度があります」
「技術と役割に応じて給与が上がります」
という仕組みを示すことができれば、会社の人材育成に対する考え方も伝わりやすくなります。
6.「最低賃金対策」を単なるコスト問題にしない
最低賃金が上がると、経営者にとっては人件費の増加が大きな問題になります。
だからといって、単純に全員の給与を一律に引き上げるだけでは、会社の利益を圧迫する可能性があります。
もちろん、法律で定められた最低賃金を守ることは大前提です。
そのうえで考えたいのが、
「最低賃金の引き上げをきっかけに、給与制度そのものを見直す」
という考え方です。
例えば、
「最低限守るべき給与水準」
「技能が上がった人の給与」
「資格を取得した人の手当」
「職長など責任を担う人の給与」
を整理します。
そうすれば、会社として「どこに人件費を配分するのか」を考えやすくなります。
人件費は単なるコストではありません。
職人が技術を身につけ、生産性を高め、より大きな仕事や責任を担えるようになれば、それは会社の収益にもつながります。
だからこそ、
「人件費を上げるか、上げないか」ではなく、「どのような成長に対して、どのように人件費を配分するか」
という視点が必要です。
7.若手職人が辞める理由は「給与」だけではない
若手の定着を考えるとき、給与だけを見てはいけません。
もちろん給与は重要です。
しかし、それと同じくらい、
「自分がこの会社でどう成長できるのか分かるか」
ということも重要です。
入社して数年経っても、
「次に何を覚えればいいのか分からない」
「何年働けば一人前なのか分からない」
「頑張っているけれど、どう評価されているのか分からない」
という状態では、将来に不安を感じる可能性があります。
反対に、
「まずはこの仕事を覚える」
↓
「次にこの資格を取る」
↓
「一人で現場を任される」
↓
「後輩を指導する」
↓
「職長として現場を管理する」
という道筋が見えていれば、目標を持って仕事に取り組みやすくなります。
キャリアの見える化は、若手職人の定着を考えるうえで重要な経営課題です。
8.評価制度を導入するなら、就業規則までセットで考える
ここで注意したいのが、評価制度だけを作って終わりにしないことです。
評価制度と給与制度を変更するのであれば、就業規則や賃金規程などの内容も確認する必要があります。
例えば、
- 基本給をどのように決めるのか
- 昇給の条件は何か
- 資格手当をどうするのか
- 等級をどのように決めるのか
- 評価をいつ実施するのか
- 昇格・降格をどのように扱うのか
といったルールを整理します。
これらを曖昧にしたまま運用すると、社員との認識の違いが生まれる可能性があります。
特に給与に関係する制度は、会社と社員の双方にとって重要です。
だからこそ、「評価表を作る」だけではなく、「会社の正式なルールとしてどう運用するのか」まで考える必要があります。
9.なぜ社労士の関与が重要なのか
ここで社会保険労務士の役割が重要になります。
給与制度や評価制度は、単なる社内ルールではありません。
社員の労働条件に直接関係するからです。
例えば、制度変更によって社員の給与が下がるような場合には、慎重な対応が必要です。
また、最低賃金を下回っていないか、割増賃金の計算に問題がないか、就業規則や賃金規程との整合性が取れているかなど、確認すべきポイントは数多くあります。
社労士は、こうした労働・社会保険関係の専門家です。
そのため、
「会社としてどんな人事制度を作りたいのか」
という経営者の考えを聞き、それを労働関係のルールに沿った形へ整理していく役割を担うことができます。
また、会社の制度や状況によっては、賃金引き上げや人材育成などに関係する助成金を活用できる可能性もあります。
もちろん、助成金は「もらえること」を目的にするのではありません。
会社にとって必要な制度を整備し、その結果として利用できる制度があれば活用する、という順番で考えることが大切です。
10.「評価制度」は会社の未来への投資
人事評価制度というと、
「社員を細かく管理するためのもの」
と考える経営者もいるかもしれません。
しかし、本来の目的はそこではありません。
評価制度は、
「会社が社員に何を期待しているのかを伝える仕組み」
でもあります。
会社が、
「技術を大切にする」
「安全を大切にする」
「後輩を育てる人を評価する」
「責任を持って現場を任せられる人を評価する」
という考えを持っているのであれば、それを評価制度に反映させることができます。
つまり、評価制度は会社の経営方針そのものを、社員に伝える道具にもなります。
まとめ|「職人の評価」を「会社の仕組み」に変える
タイル工事は、高い技術が求められる仕事です。
しかし、どれだけ高い技術を持った職人がいても、その技術を正しく評価し、次の世代に引き継ぐ仕組みがなければ、会社としての財産にはなりにくいものです。
これからのタイル工事会社に必要なのは、
「腕のいい職人を社長の感覚だけで評価する会社」から、
「職人の技術を会社の仕組みとして評価する会社」へ変わること
ではないでしょうか。
そのための一つの方法が、
CCUS × 24段階評価制度 × 給与制度 × 就業規則
という仕組みです。
CCUSによって経験や資格を整理し、会社独自の評価制度によって日々の仕事ぶりを評価する。
その評価を給与制度につなげる。
そして、就業規則や賃金規程に落とし込み、会社の正式な仕組みとして運用する。
この一連の流れを作ることで、経営者にとっても社員にとっても、「給与がどう決まるのか」が分かりやすくなります。
さらに、
「何を頑張れば評価されるのか」
「どんな技術を身につければ給与が上がるのか」
「将来、どんな仕事を任されるのか」
が見えるようになります。
これは、採用だけの問題ではありません。
若手の育成、職人の定着、技術の継承、適正な人件費管理、そして会社の将来の利益にも関係する問題です。
だからこそ、評価制度は「社員を評価するためだけの制度」ではありません。
会社の将来をつくるための経営の仕組みです。
タイル工事会社がこれからも職人を採用し、育て、技術を次の世代へ引き継いでいくためには、職人の「経験」「資格」「技術」「責任」を正しく見える化することが重要です。
そして、その仕組みを給与や就業規則まで含めて設計するのであれば、労務管理の専門家である社会保険労務士と一緒に進めることも有効な方法の一つです。
「頑張った職人が評価される会社」から、
「どう頑張れば評価されるのかが分かる会社」へ。
この違いが、これからの建設業における人材確保と定着を考えるうえで、大きな意味を持つのではないでしょうか。
経営者向けにするなら、さらに一段強くして、**「社長が今すぐ取り組むべき5つのステップ」→「制度導入の費用・手順」→「社労士に相談するメリット」**まで入れると、集客用ブログとしてかなり完成度が上がります。
