静岡県の中小建設業必見!採用した社員に長く働いてもらうには?人材の定着率を高める職場づくり
1.人を採用しても、すぐに辞めてしまう。その原因は?
建設業では、職人や現場を任せられる人材の確保が大きな課題になっています。求人広告を出したり、人材紹介会社を利用したりして、ようやく採用できたとしても、数か月から数年で退職してしまうケースは少なくありません。
特に中小建設会社では、1人の社員が辞めるだけでも現場の人員配置や工事の進行に大きな影響が出ます。新たに人を採用するには、求人費用や面接の時間、入社後の教育など、さまざまな負担もかかります。
だからこそ、これからの人材対策では「採用すること」だけでなく、「採用した社員に長く働いてもらうこと」が重要です。
社員が定着する会社には、共通点があります。それは、給与や休日などの条件だけでなく、社員が安心して働き、自分の成長や将来に希望を持てる職場づくりに取り組んでいることです。
2.社員が会社を辞める主な理由
社員の退職理由は人によって異なりますが、建設業では次のような問題がきっかけになることがあります。
① 給与や待遇に不満がある
仕事の責任や作業量に対して給与が見合っていないと感じると、社員の不満につながります。特に経験を積んだ職人は、自分の技術や資格、現場での役割が給与に反映されているかを気にします。
② 休みが少なく、残業が多い
工期や天候に左右される建設現場では、予定どおりに休めないこともあります。しかし、休日が少ない状態や長時間労働が続くと、社員の疲労がたまり、家族との時間や自分の生活を大切にできなくなります。
③ 人間関係や職場の雰囲気がよくない
現場では、年齢や経験の異なる社員が一緒に働きます。指導の仕方が厳しすぎる、質問しづらい、失敗すると強く叱られるといった環境では、若手や中途採用者が職場になじめず、退職を考えることがあります。
④ 将来の見通しが持てない
「この会社で働き続けたら、どのような技術が身につくのか」「将来はどのような仕事を任されるのか」「給与はどう上がっていくのか」。
こうした疑問に会社が答えられないと、社員は自分の将来に不安を感じます。特に中堅社員は、今後のキャリアや家族の生活も考えて転職を検討することがあります。
3.採用した社員に長く働いてもらうための5つの取り組み
社員の定着率を高めるために、必ずしも大きな設備投資や多額の費用が必要なわけではありません。まずは、日々の職場環境や社員との関わり方を見直すことが大切です。
① 入社後のフォローを丁寧に行う
採用した社員が会社に慣れるまでには、一定の時間が必要です。特に中途採用者は、これまで働いていた会社との仕事の進め方や人間関係の違いに戸惑うことがあります。
入社直後に仕事を教えるだけでなく、1か月後、3か月後、半年後など、定期的に話を聞く機会を設けましょう。
「仕事で困っていることはないか」「職場の雰囲気には慣れたか」「入社前に聞いていた仕事内容と違う点はないか」などを確認します。
小さな不満や不安を早い段階で把握できれば、退職につながる前に対応できる可能性があります。
② 給与・評価の仕組みを分かりやすくする
社員が長く働くためには、自分の努力や成長が正しく評価されていると感じられることが重要です。
例えば、次のような項目を評価の基準として設定します。
- 保有している資格や取得した資格
- 担当できる工事や作業の範囲
- 現場での安全管理や品質管理への取り組み
- 後輩への指導やチームへの貢献
- 仕事に対する姿勢や責任感
評価基準が明確になれば、社員は「何を頑張れば評価されるのか」を理解できます。
また、評価の結果を本人に伝え、今後期待している役割や給与の見通しについて話し合うことも大切です。
③ 資格取得や技術習得を支援する
建設業では、資格や技術が社員の成長に直結します。
会社が資格取得に必要な講習費用や受験費用を支援したり、先輩社員が技術を教える仕組みを整えたりすることで、社員は自分の成長を実感しやすくなります。
例えば、若手社員には基本的な作業や安全管理を身につけてもらい、経験を積んだ社員には職長や現場管理など、次の役割を目指してもらう方法があります。
大切なのは、資格を取らせることだけを目的にしないことです。取得した資格や身につけた技術を、実際の仕事や待遇にどう結びつけるかまで考えましょう。
④ 休みや働き方を見直す
建設業では、工期や現場の状況によって働き方が左右されます。それでも、社員が安心して働き続けられるよう、できる範囲で休日や労働時間の改善に取り組む必要があります。
例えば、現場の工程を早めに共有する、休暇の希望を事前に確認する、特定の社員に仕事が集中しないよう人員配置を工夫するといった方法があります。
また、現場への直行直帰や、現場終了後の移動時間の負担軽減なども、働きやすさにつながる場合があります。
すべてを一度に変えることは難しくても、社員の声を聞きながら改善を続けることが大切です。
⑤ 社員同士が相談しやすい職場をつくる
職場の人間関係は、社員の定着に大きく関係します。
特に中小企業では、経営者や現場責任者と社員の距離が近いという強みがあります。その強みを生かし、日頃から社員の話を聞く機会をつくりましょう。
仕事の報告や指示だけでなく、困っていることや将来の希望についても話せる関係が理想です。
ただし、社員が本音を話せるようになるには、会社側にも聞く姿勢が必要です。意見を伝えたことで不利益を受けたり、頭ごなしに否定されたりする職場では、社員は本当の気持ちを話さなくなってしまいます。
4.社員の本音を把握する「セルフ・キャリアドック」とは?
ここまで紹介した取り組みを進めるうえで役立つ仕組みの一つが「セルフ・キャリアドック」です。
セルフ・キャリアドックとは、社員が自分の仕事やキャリアについて考える機会を、会社が定期的に設ける仕組みです。
具体的には、キャリアコンサルタントなどによる面談や研修を通じて、社員がこれまでの経験や現在の悩み、今後の目標について整理します。
例えば、次のような内容を話し合います。
- 今の仕事でやりがいを感じていること
- 仕事をするうえで困っていること
- 身につけたい技術や取得したい資格
- 将来挑戦したい仕事や役割
- 会社に改善してほしいこと
社員自身が自分の考えを整理できるだけでなく、会社にとっても、普段の業務報告だけでは分からない社員の本音を知る機会になります。
例えば、会社側は「仕事に慣れているから問題ない」と考えていても、本人は「この先、どのように成長できるのか分からない」と不安を感じているかもしれません。
こうした認識の違いを早めに把握し、必要な支援につなげることが、離職防止につながります。
5.セルフ・キャリアドックを定着率向上につなげるポイント
セルフ・キャリアドックは、面談を実施するだけで効果が出るものではありません。大切なのは、面談で分かったことを会社の取り組みに反映することです。
例えば、社員から「資格を取得したい」という希望があれば、受験費用や講習の受講について支援を検討します。
「現場の仕事が特定の社員に集中している」という意見があれば、業務分担や人員配置を見直します。
「将来は現場を任される立場になりたい」という社員には、必要な経験や資格を整理し、段階的な育成計画を考えます。
また、面談の内容は、社員のプライバシーに配慮して取り扱う必要があります。安心して本音を話せるよう、面談で話した内容をどのように会社と共有するのか、事前に説明しておくことも重要です。
社員の声を聞くだけで終わらせず、できることから改善していく。この積み重ねが、社員の信頼につながります。
6.人材の定着は、会社の将来への投資
中小建設会社にとって、社員の退職は単に1人分の人員が減るという問題ではありません。これまで身につけてきた技術や経験、現場で築いてきた人間関係も失われることになります。
反対に、社員が長く働き続けてくれれば、技術の蓄積や若手の育成が進み、会社全体の仕事の質を高めることにつながります。
そのためには、採用活動と人材定着の取り組みを別々に考えるのではなく、一つの流れとして捉えることが大切です。
採用した社員が安心して働ける環境を整え、成長を支援し、将来の目標を持てる会社にする。こうした取り組みは、求人活動の際にも会社の魅力として伝えられます。
7.まとめ:社員の声を聞くことから始めよう
社員に長く働いてもらうためには、給与や休日などの待遇改善だけでなく、仕事のやりがいや成長の機会、職場の人間関係など、さまざまな面から職場環境を整える必要があります。
特に重要なのは、会社が一方的に考えるのではなく、社員が何を感じ、何を望んでいるのかを知ることです。
セルフ・キャリアドックを活用すれば、社員が自分の将来を考える機会をつくるとともに、会社も人材育成や職場環境の改善に役立つ情報を得られます。
人材不足が続く今、採用した社員に長く活躍してもらうことは、中小建設会社の経営を安定させるための重要な取り組みです。
まずは、社員一人ひとりと話す時間をつくることから始めてみてはいかがでしょうか。
