静岡県の中小建設業必見!社員の育成費用を抑えるには?人材開発支援助成金の活用方法

1.社員を育てたい。でも、教育にかかる費用が心配……

建設業では、職人の技術力や現場を管理する能力が、会社の仕事の質を大きく左右します。そのため、社員に資格を取得してもらったり、新しい技術を学んでもらったりすることは、会社の将来にとって大切な投資です。

しかし、中小建設会社の経営者からは、次のような声も聞かれます。

  • 資格取得や講習の費用が負担になる
  • 社員を研修に参加させたいが、現場を空けられない
  • 教育に時間をかけても、すぐに成果が出るとは限らない
  • 若手や中堅社員を育てたいが、何から始めればよいか分からない

人材育成の必要性は感じていても、費用や時間の問題から、なかなか取り組めない会社もあるのではないでしょうか。

そこで活用を検討したいのが、国の助成金制度です。

厚生労働省の「人材開発支援助成金」などを利用すると、一定の条件を満たした社員研修や技能訓練について、訓練にかかる費用や訓練中の賃金の一部が助成される場合があります。

助成金を上手に活用すれば、会社の負担を抑えながら、社員の成長を支援することができます。

2.人材育成に活用できる「人材開発支援助成金」とは?

人材開発支援助成金は、会社が雇用する社員に対して、仕事に必要な専門知識や技能を身につけるための訓練を計画的に実施した場合などに、訓練費用や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。

例えば、建設会社であれば、次のような人材育成が考えられます。

  • 現場作業に必要な専門技術の研修
  • 施工管理や安全管理に関する教育
  • CADやICT施工などのデジタル技術の研修
  • 資格取得に向けた講習や訓練
  • 若手社員に対する計画的な技術指導

ただし、どのような研修でも助成対象になるわけではありません。訓練の内容や時間、対象となる社員、会社側の要件などが細かく定められています。

また、助成金は研修費用が無料になる制度ではありません。原則として会社が費用を負担したうえで、要件を満たした場合に、その一部が支給される仕組みです。

3.中小建設会社が確認したい主な助成金コース

人材開発支援助成金には複数のコースがあります。ここでは、中小建設会社が確認しておきたい主なコースを紹介します。

① 人材育成支援コース

社員に仕事に関係する知識や技能を身につけてもらう場合に、まず確認したいコースです。

例えば、次のような訓練が検討できます。

  • 建設工事に必要な専門知識の習得
  • 施工管理や安全管理に関する研修
  • 職務に必要な資格や技能に関する訓練
  • OJTと社外研修を組み合わせた計画的な教育

OJTとは、実際の仕事を通じて先輩社員などが技術や知識を教える方法です。一方、OFF-JTは、通常の仕事から離れて研修や講習を受ける方法です。

建設業では、現場での実践的な指導が欠かせませんが、現場だけでは学びにくい知識もあります。座学と実技を組み合わせることで、より効果的な人材育成につなげられます。

② 人への投資促進コース

デジタル技術や高度な専門知識など、これからの事業に必要な能力を社員に身につけてもらいたい場合に検討できるコースです。

建設業では、ICT施工やデジタル技術の活用が進んでいます。

例えば、次のような教育が考えられます。

  • CADなどの設計・製図ソフトの操作
  • ICT施工に関する知識や技術
  • デジタル技術を活用した業務改善
  • オンライン講座などを利用した継続的な学習

また、このコースには、定額制の研修サービスを利用した訓練などもあります。社員が複数の講座を受講する場合には、利用方法を検討する価値があります。

③ 事業展開等リスキリング支援コース

新しい事業を始めたり、これまでとは異なる分野に進出したりするために、社員に新しい知識や技能を習得させる場合に検討できるコースです。

例えば、従来の工事に加えて、新たに次のような分野に取り組むケースが考えられます。

  • ICT施工やデジタル技術を活用した事業
  • 新しい工法や施工技術への対応
  • 建設分野での新サービスの展開
  • 事業内容の変化に伴う専門知識の習得

単に社員の能力を高めるだけでなく、会社の新しい事業や業務の変化に対応するための人材育成が対象となるコースです。

④ 建設労働者技能実習コース

建設業の会社にとって、特に確認しておきたいのが建設労働者技能実習コースです。

雇用する建設労働者に、技能向上のための実習を有給で受講させた場合などに、訓練費用や訓練期間中の賃金の一部が助成される制度です。

建設現場で必要となる技能を高めるための実習などについて、対象となる可能性があります。

ただし、実習の内容や受講者、実施方法などに条件があります。受講を決める前に、最新の支給要件を確認することが重要です。

4.助成金を活用するための申請の流れ

助成金を利用する際に、特に注意したいのが申請のタイミングです。

「研修を受けさせてから、後で助成金を申請すればよい」と考えていると、要件を満たせず、助成金を受けられない場合があります。

一般的には、次のような流れで準備を進めます。

STEP1 社員に必要な教育内容を整理する

まずは、会社としてどのような人材を育てたいのかを考えます。

例えば、若手社員には基本的な技能や安全管理を身につけてもらい、中堅社員には現場を任せられる能力を高めてもらうなど、社員の経験や役割に合わせて教育内容を整理します。

STEP2 助成金の対象になるか確認する

受講したい研修や講習が、助成金の対象になるかを確認します。

研修内容、訓練時間、受講する社員の雇用状況、会社の要件などによって、対象になるかどうかが変わります。

研修会社や講習機関に相談するだけでなく、管轄の労働局にも確認しましょう。

STEP3 訓練計画を作成し、必要な届出を行う

対象となる場合は、助成金のコースに応じて訓練計画などの必要書類を準備し、定められた期限までに提出します。

ここが重要なポイントです。

助成金によっては、訓練を開始する前に計画届を提出する必要があります。研修の申し込みや受講を先に進めてしまうと、助成金の対象外になる可能性があるため、必ず事前に確認してください。

STEP4 計画に沿って研修を実施する

届出した計画に沿って研修を実施します。

受講者の出席状況や訓練内容、受講時間、費用の支払いなどを記録し、関係書類を保管しておきましょう。

STEP5 必要書類をそろえて支給申請する

訓練が終了したら、定められた期間内に支給申請を行います。

申請時には、訓練の実施状況や費用の支払いを確認できる書類などが必要になります。

書類に不足や不備があると、確認に時間がかかったり、支給されなかったりする可能性があります。研修を始める前から、必要書類を確認しておくことが大切です。

5.助成金を活用するときに注意したい5つのポイント

助成金は便利な制度ですが、申請すれば必ず受け取れるものではありません。次の点に注意しましょう。

① 研修を始める前に確認する

最も重要なのは、研修の申し込みや受講を始める前に、対象となるかどうかを確認することです。

コースによって計画届の提出期限や必要な手続きが異なります。

② 研修内容が仕事に関係しているか確認する

助成金は、職務に関連する知識や技能を身につけるための訓練などが対象です。

会社の仕事と関係の薄い研修や、制度の対象外となる内容では助成を受けられない場合があります。

③ 出勤簿や賃金台帳などをきちんと保管する

研修の実施状況だけでなく、受講者の出勤状況や賃金の支払いなどを確認できる書類も重要です。

普段から労務関係の書類を整理しておくと、申請時の負担を減らせます。

④ 助成金の入金まで時間がかかることを理解する

助成金は、研修費用を支払った時点で受け取れるものではありません。訓練の実施後に申請し、審査を経て支給されます。

そのため、最初に必要となる研修費用は、会社側で準備しておく必要があります。

⑤ 最新の制度内容を確認する

助成金の対象となる訓練や支給要件、申請様式などは変更されることがあります。

過去に利用したことがある会社でも、前回と同じ条件で申請できるとは限りません。必ず最新の情報を確認しましょう。

6.セルフ・キャリアドックと組み合わせて人材育成を進める

助成金を活用するうえで大切なのは、「何のために社員を育てるのか」を明確にすることです。

そこで役立つのが、これまで紹介してきたセルフ・キャリアドックです。

セルフ・キャリアドックでは、社員が自分の仕事や将来のキャリアについて考える機会を設けます。面談などを通じて、社員が身につけたい技術や取得したい資格、今後挑戦したい仕事などを把握できます。

例えば、面談で次のような希望が出てきたとします。

  • 施工管理の仕事に挑戦したい
  • 資格を取得して仕事の幅を広げたい
  • ICT施工について学びたい
  • 後輩を指導できる技術を身につけたい

こうした希望を会社の人材育成計画に反映すれば、社員一人ひとりに合った教育を考えやすくなります。

さらに、その教育内容が助成金の対象となる場合には、制度の活用を検討できます。

ただし、セルフ・キャリアドックを実施しただけで助成金が支給されるわけではありません。面談やキャリアコンサルティングと、助成金の対象となる職業訓練は、それぞれの制度要件に沿って考える必要があります。

社員の希望を把握し、必要な教育を計画し、条件に合う助成金を活用する。この流れをつくることが、無理のない人材育成につながります。

7.まとめ:助成金を活用して、会社の将来を担う人材を育てよう

建設業では、社員一人ひとりの技術や経験が会社の大きな財産です。

人材不足が続く中、経験者を採用するだけでなく、今いる社員を育て、長く活躍してもらうことが、会社の将来を支える重要な取り組みになります。

人材育成には費用も時間もかかりますが、人材開発支援助成金などを活用することで、会社の負担を抑えながら教育に取り組める可能性があります。

まずは、社員にどのような技術や資格を身につけてもらいたいのかを整理し、利用できる助成金があるか確認してみましょう。

助成金を利用すること自体が目的ではありません。社員が成長し、その力が会社の仕事や将来の事業に生かされることが大切です。

採用した人材に長く働いてもらい、育て、会社の中心となる人材へ成長してもらう。そのための仕組みづくりを、今から始めてみてはいかがでしょうか。