【静岡県中小建設業社長様】保温工の技術と未来を守るCCUS
職人の技術を見える化し、適正な評価と会社の成長につなげる!
皆さんは、工場やビルの中に張り巡らされた配管やダクトに、断熱材が巻かれているのを見たことがありますか?
この断熱材を取り付け、熱が逃げるのを防いだり、冷たいものが温まらないようにしたりする仕事が「保温工事」です。
保温工は、配管や設備にグラスウールやロックウールなどの材料を取り付け、熱の損失を減らす「保温」や、冷たさを保つ「保冷」を行います。
例えば、工場で高温の蒸気を運ぶ配管から熱が逃げ続ければ、余分なエネルギーが必要になります。一方、冷たい液体を運ぶ配管では、外から熱が伝わると冷却に余計なエネルギーがかかります。
保温工事は、こうしたエネルギーの無駄を減らし、設備を効率よく動かすために欠かせません。
さらに、配管の温度によっては、適切な保温が作業環境の安全確保にも関係します。
つまり、保温工は、工場やプラント、大型ビルなどの設備を支え、省エネと安全に貢献する専門技術者なのです。
しかし、ここで一つの問題があります。
それは、職人が持っている技術や経験が、外から見ただけではわかりにくいということです。
長年現場で経験を積んだ職人と、経験の浅い職人では、仕事の速さや仕上がり、対応できる作業の範囲が違います。
それでも、技術の違いが十分に評価されなければ、職人の努力が給与や待遇に反映されにくくなってしまいます。
そこで重要になるのが、**CCUS(建設キャリアアップシステム)**です。
今回は、保温工とCCUSの関係を、職人のキャリアと会社経営の両面から4つのポイントで解説します。
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■ 1.CCUSで保温工の技術を見える化する
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CCUSとは、建設業で働く技能者の資格、現場での就業履歴、経験などを登録・蓄積し、技能者の能力を適切に評価するための仕組みです。
簡単に言えば、職人がどんな資格を持ち、どれだけ現場を経験し、どのような技術を身につけてきたのかを記録する仕組みです。
これまで、職人の能力は、現場で一緒に働いた人や会社の担当者が知っていても、別の会社や初めて取引する元請け企業には伝わりにくいことがありました。
例えば、ある保温工が10年以上の経験を持ち、難しい配管の保温工事を任されていたとしても、その実力を初めて会う相手に短時間で説明するのは簡単ではありません。
CCUSに技能者の情報が登録されていれば、経験や資格などを確認するための手がかりになります。
さらに、保温工の分野では、所定の能力評価基準に基づいて技能者をレベル1からレベル4までの4段階で評価する仕組みがあります。
一般的には、次のようなイメージです。
● レベル1:初級技能者
建設業で働き始めた段階。基本的な作業を学び、先輩の指導を受けながら経験を積んでいきます。
● レベル2:中堅技能者
一定の現場経験と資格を身につけ、担当できる作業の幅を広げていく段階です。
● レベル3:職長クラスの技能者
高い技能と豊富な経験を持ち、現場で仲間をまとめたり、作業を管理したりする役割も担う段階です。
● レベル4:高度な技能を持つ熟練技能者
高度な資格や豊富な経験を備え、現場の中心として活躍する技能者の段階です。
なお、レベルの判定には、単純な経験年数だけでなく、対象となる資格や職長経験など、職種ごとに定められた条件があります。
そのため、長く働けば自動的に上のレベルになれるわけではありません。
大切なのは、経験を積み、必要な資格を取得し、仕事の能力を高めていくことです。
若い職人にとっては、「これから何を学び、どんな資格を取り、どのように成長すればよいのか」という目標を考える材料になります。
会社にとっても、社員一人ひとりの成長を把握し、育成計画を立てやすくなります。
職人の技術を見える化することは、個人の成長だけでなく、会社全体の技術力を高めることにもつながるのです。
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■ 2.技術を証明し、適正な工事単価を目指す
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保温工事の会社が経営を続けていくためには、仕事を受注するだけでなく、工事に見合った金額で契約することが重要です。
建設業では、元請け企業や発注者から価格を抑えるよう求められることがあります。
もちろん、無駄な費用を減らす努力は必要です。
しかし、必要な人件費や材料費、安全対策にかかる費用まで削ってしまえば、職人の待遇が悪くなったり、現場の品質や安全に影響したりするおそれがあります。
保温工事では、材料を取り付ければ終わりというわけではありません。
設備の形状や温度、使用する材料、施工する場所などを考え、条件に合った方法で丁寧に仕上げる必要があります。
施工の精度が不足すれば、熱が逃げやすくなったり、結露などの問題につながったりする場合もあります。
だからこそ、経験豊富な職人の技術には価値があります。
ここでCCUSを活用し、社員が持つ資格や経験、技能者の評価などを整理して示せれば、会社の技術力を説明するための材料になります。
例えば、元請け企業に対して、
「当社には、必要な資格を持つ技能者が在籍しています」
「現場経験を積んだ職長が作業を管理します」
「技能者の育成と技術力の向上に継続して取り組んでいます」
といった説明を、具体的な情報に基づいて行いやすくなります。
これは、単に「うちは技術力があります」と伝えるよりも、会社の強みを理解してもらう助けになります。
その結果、価格だけではなく、技術力や施工体制も含めて会社を評価してもらえる可能性が高まります。
ただし、CCUSに登録しただけで、工事単価が自動的に上がるわけではありません。
実際の価格交渉では、施工実績、品質、安全管理、見積もりの根拠、取引先との信頼関係なども重要です。
CCUSは、会社の実力を伝えるための一つの手段です。
技術を見える化し、その価値を相手に伝えることが、適正な工事単価を目指す第一歩になります。
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■ 3.最低賃金の引き上げと職人の給与を考える
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会社経営で避けて通れないのが、人件費の問題です。
最低賃金の引き上げや物価の上昇が続けば、会社は賃金や材料費、燃料費などの増加に対応しなければなりません。
特に、若手の採用や育成を進める会社にとって、給与の見直しは重要な課題です。
しかし、会社の売上や利益が十分に増えていない状態で人件費だけが急激に増えると、資金繰りが苦しくなる可能性があります。
ここで大切なのは、法律で定められた最低賃金などのルールを守りながら、社員の能力や役割に応じた、納得感のある給与制度を考えることです。
例えば、会社独自の評価制度を設け、次のような項目を確認します。
・保有している資格
・現場での経験や施工実績
・担当できる作業の範囲
・安全管理への取り組み
・後輩への指導や職長としての能力
こうした項目とCCUSの技能評価を参考にすれば、社員がどのように成長しているのかを把握しやすくなります。
そして、会社の賃金制度と適切に連動させることで、資格取得や技能向上を処遇に反映する仕組みを検討できます。
例えば、基本的な作業を覚えた職人、難しい施工を任せられる職人、現場全体を管理できる職長では、求められる責任や能力が異なります。
その違いを給与や手当、役職などに反映できれば、職人にとっても努力する意味がわかりやすくなります。
「資格を取っても給料が変わらない」
「難しい仕事を任されても評価されない」
こうした不満が続けば、技術を身につけた職人が会社を離れてしまうかもしれません。
反対に、成長が正当に評価される会社では、将来の目標を持ちやすくなります。
もちろん、CCUSのレベルだけで給与を機械的に決めればよいというものではありません。本人の能力や担当する仕事、責任、会社の賃金規程などを踏まえ、納得できる制度にすることが大切です。
また、最低賃金は必ず守らなければならず、会社の資金繰りを理由に下回ることはできません。
会社には、必要な賃金を支払いながら事業を継続できるよう、受注価格や原価、人員配置などを見直す努力も求められます。
職人の待遇改善と会社の経営安定は、どちらか一方を選ぶものではありません。両立できる仕組みをつくることが重要なのです。
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■ 4.経営事項審査や公共工事にもつながる
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建設業許可を持つ会社が公共工事を受注しようとする場合、会社の経営状況や技術力などを評価する「経営事項審査」、いわゆる「経審」が関係します。
経審は、公共工事の入札参加資格を審査する際などに使われる評価制度です。
評価項目には、完成工事高や財務状況、技術力など、さまざまな要素があります。
その中には、技能者の育成や処遇改善に関係する取り組みが評価に影響する場合もあります。
CCUSの活用や技能者の能力評価も、建設業界全体で技能者の処遇改善を進めるうえで重要な取り組みです。
ただし、CCUSのレベル3やレベル4の技能者が在籍していれば、それだけで経審の評価が必ず上がるというわけではありません。
加点の対象となる項目や条件は制度によって定められており、申請時点のルールを確認する必要があります。
それでも、会社が技能者の資格や能力を把握し、計画的に育成していくことは、施工体制を整えるうえで意味があります。
元請け企業や発注者にとっても、必要な技能者を確保し、現場を適切に管理できる会社は、安心して工事を任せるための判断材料になります。
保温工事は、工場やプラントの定期修繕、設備の更新、省エネ改修など、さまざまな場面で必要とされます。
設備が安全かつ効率的に動き続けるためには、確かな技術を持つ職人と、それを支える会社の存在が欠かせません。
技能者の情報を整理し、人材育成に取り組むことは、将来の受注機会や取引先との信頼関係を考えるうえでも大切です。
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■ まとめ:CCUSは、職人と会社の未来を支える仕組み
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保温工にとって、CCUSは単なるカードや現場の入場管理のためだけの仕組みではありません。
職人が積み重ねてきた経験や資格、技能を記録し、その能力を適切に評価するための重要な基盤です。
職人にとっては、自分の成長を確認し、次に目指す目標を考える手がかりになります。
会社にとっては、社員の能力を把握し、教育や資格取得を支援し、技術力を取引先に伝えるための材料になります。
そして、技術力を適正な受注価格につなげ、必要な人件費を確保し、社員が長く安心して働ける環境を整えることにもつながります。
ただし、CCUSに登録するだけですべての問題が解決するわけではありません。
技能者の評価を給与や育成計画にどう反映するのか。技術力をどのように受注や価格交渉につなげるのか。人件費や材料費の上昇にどう対応するのか。
こうした課題に、会社全体で取り組むことが必要です。
これからの建設業では、仕事をこなすだけでなく、**「技術を正しく評価し、その価値を会社の利益と職人の待遇に結びつけること」**がますます重要になります。
保温工の仕事は、普段は目立たないかもしれません。
しかし、その技術があるからこそ、工場やビルの設備は効率よく動き、エネルギーの無駄を減らすことができます。
職人の技術を守ることは、会社を守ること。そして、会社が安定して成長することは、職人の未来を守ることにもつながります。
CCUSを上手に活用し、職人の成長、適正な評価、会社の経営安定を一つにつなげていきましょう。
※能力評価の具体的な要件、カードの色、必要な就業日数・資格、経営事項審査の評価条件は変更される場合があります。実際に運用する際は、保温保冷分野の最新の能力評価基準や関係機関の公表情報を確認してください。
